期間従業員の賃上げ要求方針
期間従業員も同じ組合員だから、これは当然でしょうね。
出来る出来ないは別として。組合にその気がある/ないではなくて、今のトヨタの状態で賃上げをする/できるのかということのほうが問題なのでしょうけれど。
生産調整で休日が増えているということ、その休日も年次有給休暇や賃金の8割を支払っているという状況において、ベースアップを要求するということについての是非が問われるのではないかと思っているのですけれど。従業員の中にも「これだけ休みが多いのに…」なんて気分にもなっているでしょうし、リストラ怖い、という人も多いのだろうし。
雇用を維持するためにリストラも行わないで、工場を停めるという緊急対策としてのワークシェアリングを行っているのですから、すでに「雇用を維持しているし賃金も確保しているのだから、それ以上は言わないでくれよ」ということになるのだろうと思っています。この時期に闘争をしなくても、組合としての存在意義を問う人もいないだろうし、すでに「御用組合」という不名誉な評判をされているのだし…。
トヨタ労組、期間従業員の賃上げ要求方針 正社員に準じて:NIKKEI NET(日経ネット)
トヨタ自動車労働組合(鶴岡光行執行委員長)は26日、2009年の春季労使交渉で、国内工場で働く期間従業員の賃上げを求める方針を固めた。トヨタ労組は昨年4月から勤続1年を超える期間従業員を順次組合に受け入れている。組合員とした期間従業員について、正社員の賃上げ交渉の結果に準じて賃金水準を向上するように会社側に求める。
「正社員の賃上げ交渉の結果に準じて」なので、たとえば正社員のベースアップがなかったら期間従業員も0円なんでしょうか。それでも正社員は定期昇給分(昨年の交渉時は平均6900円)があるので、毎年昇給はしているのですが。期間従業員もシニアになれば日給10000円、10300円、雇い止め、という昇給がありますから、これに対してのベースアップをしたとしても、100円として月額2000円、正社員が4000円ということですが、昨年でも1000円アップだけでしたので、結局、1000円2000円の「攻防」になるのだろうと思っています。
参考までに
トヨタ期間従業員員の給与体系(日給)
(1年目)
経験1回目 9000円
経験2回目 9500円
経験3回目 9800円
(1年以上超えるシニア期間従業員になると)
2年目 10000円
3年目 10300円
生産状況によっては、期間従業員の数も1000人台に削減されて、0に近づけようとするだろうし、それぐらいの数になれば、月額1000円のベースアップも出来るかもしれないですね。そうなると、2年目10100円、3年目10400円ということになるのですが、日給が上がったところで収入は減るのだから…。
いすゞ自動車が提示したように、半年分の基本賃金の8割を支給するから退職するか、仕事がないけれど残るか、なんて選択も出すかもしれないし。今後は3年目の延長も認められない人も増えてくるのでしょうし、減らそうと思えば章男次期社長が言っていたように「雇用法に照らして」削減が進められるのでしょうから、組合としては100円の賃上げよりも、そうなったときの雇用確保に対してどう対処するのかということで、存在意義を問われるのだろうと考えています。
このような、「仕事がないけれど雇用する」「仕事がないので休日にして賃金は支払う」という形のワークシェアリングをする企業は、トヨタ自動車やいすゞ自動車などの自動車関連企業だけではなくて、これから多業種にわたって行われるのでしょうね。
雇用確保して「ない仕事」を分け合い、残業をなくして労働時間を短縮したとしても、限界があるでしょうから操業停止とということになってしまうのでしょうね。なにもしなくても給料は貰える、それも辛いことなのかもしれません。4Sばかりの毎日というのも苦痛でしょうし…。
多業種で3連休、4連休ということになってくると、消費は拡大する可能性もありますよね。ちょうど定額給付金支給の時期も重なるでしょうし。それとも家にじっとくのかなあ。
「8割ではなくて全額支払え」なんてことになると(言っている人もいますが)「じゃあ、出社して1日中掃除でもなんでもして下さい」ってことになるのだろうし。企業としてはそれでも構わないのだろうけれど、そうなると下請けや関連企業の負担経費増ということにもなりますしね。例えばメグリアやトヨタすまいるライフの従業員も働かなくてはならないし。
操業停止して、工場を閉鎖したほうが電気代もかからないのだから。
というように、トヨタ自動車としては最大の企業努力をすでに行って雇用を確保し賃金も支払っているのだから、逆に組合のほうが「賃上げしてリストラするのか、このまま雇用を確保するのか」ということを突きつけられているように感じています。そこになにか微妙なズレを感じているのですが。
ま、生産調整による休日の増加は全従業員の給与カットなので(それも数万円という単位で)、今回の賃上げの話もなんだか虚しい気がしている人のほうが多いでしょうね。
期間従業員に対しては、組合費の徴収免除を行うと、闘わなくても来月からすぐに1000円以上のアップということになりますから。それだとすぐにでも実行可能でしょうし…。あるいは商品券でキャッシュバックするとか。
こういう話になると、直接金を配る、という社会セーフティネット論のようになってしまいますが…。ま、組合も、労働者にとってはセーフティネットではあるのですけれど。効力がないのならば、「バラまき」もありかもしれませんね;)
#同情するなら金返せ…とか?
(16時30分一部訂正・加筆しました)
(22時 さらに訂正・加筆しました)
さといもさん、こんばんは。
そうですね。上がることは良いことでしょうね。トヨタが基準という企業もあるでしょうから…。
ただ、難しいかなあ、と思っていることと、ベアよりも雇用確保かなあ、と思っているのです。ま、両方するということが一番なんですけれど。
一時金も減額になると、社員の方も痛いでしょうけれど…。業績連動分って仕組みも、どうなのかなあ、なんて思っています。
例えば日給9000円が9100円になれば大半の方はよくやってくれたと思うでしょう。
何らかの目に見える形で結果を出す事が大事ではないでしょうか。
ま、そういうことですか。
トヨタも、昨年やっと4年ぶりに1000円のベアがあったということでしたが、賃金よりも業績連動分という一時金に上乗せする形での支給ってのが、なんともセコイというか、固いというか、こうなった場合には効いてるなあ、って思っています。
よいことなのだろうけれど、組合員である期間従業員の雇用を守れるのか、ということを含めて、組合のワークシェアリングに対しての姿勢が問われるのだろうと。ま、記事にも書きましたけれど。
ありがとうございます。訂正しました。アップアップになってましたね:)
労働する立場の私にすると、正規にしろ契約にしろ、賃金が上がることはよいことだ。
トヨタの賃上げがやがては全体の賃上げにつながると思うのですが、時々、コメントで揶揄するものが見受けられる。残念ですね。…使用者なのかな?まさかね。
ベアはベースアップですよね?