平井の神明社
2026年4月14日
豊川市平井町、かつての柏木浜や志香須賀(しかすが)の渡し伝承地のほど近く。県道沿いに静かな情緒を湛えて鎮座するのが平井の神明社です。もともとは現在地より南西に位置していましたが、耕地整理に伴いこの地へ遷座されました。周辺の「神明」という地名は、まさにこの社が由来とされており、地域の歴史の深さを今に伝えています。
「鉄道施餓鬼」が語る交通の要衝としての記憶
この社は、東海道本線と飯田線という二つの鉄道路線に挟まれた非常に珍しい立地にあります。かつては神社の傍らで、鉄道犠牲者を供養する「鉄道施餓鬼(てつどうせがき)」が執り行われていたといいます。鉄路が交差する交通の要衝ならではの、悲しくも温かな祈りの記憶がこの場所には刻まれているのです。
四季の彩りとカシワの木が紡ぐ、山里の静謐な空間
鳥居をくぐり境内へ足を踏み入れると、そこには慎ましやかな石祠が静かに佇んでいます。社の両脇にはエノキの大木やサクラ、椿が寄り添うように植えられ、地域の方々が今日まで繋いできた深い愛着がうかがえます。隣接する柏木浜跡のカシワの木とともに、この一画は今も古の面影を色濃く残す、特別な聖域として親しまれています。






平井の神明社の地図・行き方
施餓鬼(せがき)とは、仏教において飢えと渇きに苦しむ「餓鬼道(がきどう)」に落ちた亡者へ供物を捧げ、供養する行事です。『小坂井町誌』には、「今は(8月)6日の夜浄泉寺境内で行っている」と記されています。