夕立のあと

17時30分のぐるりんバス臨時便に乗ってから20数時間、青春18きっぷの旅は折り返し点に着きました。ぐるりんバスも期間従業員の帰省を見込んでなのでしょうね、17時38分の堂浦線とは別に臨時便を出したようですが、それでも満席になるということもなくて、どうせ出すのならば同じ時間帯ではなくて時間をずらすとか、西浦循環線を金曜日に運行してほしかったと思いました。

ということで、18時7分発の新豊橋行きの電車に乗って、19時前にはJR豊橋駅に着いたボクは、帰省客で込み合うみどりの窓口で少し並んで、無事に青春18きっぷを購入、19時07分発の新快速にも乗ることが出来たのですが、窓際の席が空いてなかったのと、予定よりも1時間早かったので、KIOSKであさり煎餅、名古屋手羽先パイをお土産として買い、ホームへ向かいました。

19:36 豊橋駅発
豊橋駅発米原行き新快速乗車

帰省時期と帰宅時間が重なっているので、どの駅も込み合っていましたが、結局この行程すべてで座ることが出来ました。電車に乗ると、その日の仕事の疲れや安心やらで眠ってしまいました。それでも、寝ているというか、起きているようでもあり、そんな状態の中で米原に着いたという感じでした。わずか(「わずか」というのは、こうして書いているときに感じことであって、乗っている間は長かったり短かったり)2時間、やっとホットタイムってな感じもしたのですが…。

21:36 米原着
21:37 米原発
長浜発網干行き新快速乗車

米原に着くと、同じホームに網干行きの列車は待機していて、そのまま駆け込むように乗車、同じように帰省客なのか、旅行客なのか、荷物を持った人たちも走る。「師走」というか、ま、「期間工走」ってのが盆かもねえ、なんて考えたりで…。電車の中では久しぶりに「娑婆」を感じたり。それは「匂」なのかもしれませんね。

0:05 姫路着
0:05 姫路発
姫路発上郡行き普通電車乗車

予定では22:17米原発0:42姫路着の快速電車で、終点姫路から先の電車は翌朝5時までないものですから、姫路泊(駅泊ですが)という計画でしたが、姫路に着いた時にまぜか0:03発の上郡行きの普通列車が待機していて、そのアナウンスがあったので、この電車に乗りました。

さりとて上郡に行っても、翌朝は姫路始発の電車に乗ることになるので、先に進むことにたいした意味があるわけではないですし、その前進が無駄だということのほうが大きいのですが、なぜだか「前進あるのみ」のように思うのはボクの性格的なものなのか、列車やレールを見て「ラインは終了してない」と思ったことに起因するものなのかは、分かりませんが、それに旅人は終点と国境が好きということもあるかもしれませんが、とにかく上郡行きに乗ってしまいました。

数年前、やはり18きっぷで旅をした時、上郡に泊まったことがあったので(と言っても、川の側での野宿ですが)なにか因縁みたいなものを感じたのです。そういう思いや、「またか」という感じもあって、上郡は避けてその前の有年駅で降りました。

0:2? 有年駅着

実はこれまた有年駅にも縁があって、まったく初めてでもなかったのですが、降りてみるとやはり国道2号線から聞こえる大型トラックの音だけという状態でタクシーも停まっているわけでもないし、コンビニもないので、どうしたかというと、ボクは国道2号線を今来た方向へ歩きだしました。近くの大きな街と言えば相生です。深夜のR2をテクテクと歩く姿こそ、それはこの国から消えて久しいヒッチハイカー(今もいるのでしょうが)、あるいは遠くカイラス山やシナイ山をめざす巡礼者の姿を、ボクは自分に重ねていたのです。(てかそうでも思わないと、辛いからねえ。怖いし。)

2:30ごろ 相生駅着

怖いのは夜道とか幽霊とかではなくて、車なのです。国道、それも深夜の2号線なんてのは、大型トラックが我が物顔で走るので、それが怖いのです。その恐怖から逃れるために市道を通ったのですが、こんどは道がどこにあるのかどこに向かっているのか分からない暗黒の恐怖というのが待ち構えていて、それはそれで怖かったのですが、ま、夜が明ければ全てが解決されると思い、その方向へと歩きました。実は(「実は」が多いですね)この道もはじめてということではなくて、遠い昔に自転車に乗って通りすぎたことのある風景なのですが、その話は改めて書くとします。

相生駅に着くと先客一名さま爆酔、いえ爆睡中。ボクもその隣でリラックス。しかし、ま、そう簡単に寝させてはくれませんで、先客やそれと同じぐらいにしつこい蚤や蚊なんてものに、邪魔されて、結局寝たのか寝ないのか分からない状態で朝を迎えました。

5:51 相生駅発
姫路発岡山行き普通列車乗車

姫路始発の普通列車はボクと同じように18きっぷで旅をしているであろう人たちもいたのでしょう、かなり早朝の便とはいえかなりの人が乗っていました。ボクは、昨日の寝不足と疲れから、乗った途端に眠くなり、岡山に着くまでの一時間は夢のなかでした。口を開けて寝ていたという感覚があり、それが少し恥ずかしかったのですが。

6:57 岡山着
7:00 岡山駅発
岡山発糸崎(だったか白市だったか)行き普通列車乗車

糸崎、白市と言う町について、知らないという人が多いのかもしれないですが、列車で旅する人にとっては、始発の町、乗り換えの駅として有名なのかもしれませんね。普通列車の旅をする時にしかボクは降りたこともなければ、その名を見たこともないのです。

9:03 糸崎着だったか、8:25 白市着だったか

「え、どっちだったっけ」と、今これを書きながら、そして時刻表を見ながら書いているのですが、糸崎連結、白市乗り換えというよになっているのですが、確か白市で前4両が下関行きで、後ろ4両が広島止まりだったのは、ハッキリと覚えているのですが、それが糸崎だったか、白市だったか。確か山の風景だったので糸崎?改札口から見えるタバコの自販機は糸崎?

9:15 白市駅発
白市発下関行き区間快速乗車

やはりどうも白市だったような…。というのも、この下関までの最後の乗り換えでの待ち時間が十数分あって、その間に階段を上って向かい側のホーム、改札口の横にあるトイレに行く人がかなりいたこと…。

ま、それはさておき、「下関行きに乗ればもう九州も近い」なんて思っても、まだ午前9時、下関までは5時間ほどありますから、まだまだこれからというのが正しいのでしょうね。その間ボクは車窓からの風景を見ながら、一冊の本を読んでいました。「異才の改革者 渡辺崋山」、今回はその一冊だけを持ってきました。

読んでは寝て、寝ては風景を見て、そして寝て、読んで、寝て寝て…。仕事の疲れを引きずったまま、睡眠不足も手伝って、意識は朦朧としていたところもあり、夢なのか現実なのかということもあって、十数時間の列車の旅は夢幻の如くなり…。旅は日常からの離脱なんてことを言いますが、寝るということと起きているという境目の感じなのかと、薄々感じるのだけれど…。

14:21 下関着
14:22 下関発
下関発新田原行き普通列車乗車

いよいよ関門トンネルを抜けると九州上陸です。この分かりやすさが良いと思う。門司に着くと、そこはどこか懐かしい風景で、空の色や雲の形までもが、昨日まで見た田原市のものとは違って見える。ここからまだまだボクの住む街までは数時間必要なのですが、もう帰ってきたという感じになっていました。

夕立のあとだったのでしょうか、向こうに見える山からは虹がかかっていて、それがなぜだか一段と懐郷の情が増す思いでした。あんなに大きくてきれいな虹を見たのも久しぶりのように感じました。虹という存在も忘れていたのかもしれません。

きっとボクだけではなくて、多くのひとがその虹を見ていて、「九州ってのは虹が綺麗なところなんですよ」なんて言うのかもしれませんね。

それから家に着くと、カレーの匂がしました。「またカレーかよ。寮や会社の食堂で毎日食べてるのに…」なんて心の中で呟きましたが、どこか違う匂いがしました。夕立のあとのあの土の匂いに似た、いえ、その匂こそがその街自体の匂なのだろうと思いました。

5件のコメント

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    こんにちは。
    3ヶ月が長かったことでしょうね?
    ボクも昨日温泉で久しぶりに体重を量ったら6キロも痩せていました。寮に体重計がないので、なかなか計る機会もなくて…。
    あさり煎餅は美味しかったですか?ボクは今回は手羽先パイにしました。ま、土産ですから、あさり煎餅も手羽先パイもボクの口には入っていないのですが。
    久しぶりの再開…照れくさいもんですよね。ま、話すことも多いしね。何から話そうかと思ったり…。そんな連休もあと少しになりました。そう考えると、また寂しくなりますね。
    今日は台風のせいか曇っていますね。気温は高いですけれど。

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    私がリクエストしてたあさり煎餅を手に彼が帰ってきました。3ヶ月ぶりの彼は工場内の暑さのせいなのか寮での規則正しい生活のせいなのか少しやせてました。そんな彼と久しぶりのデートになんだかちょっぴり照れくさかった私です。みなさんはどんな里帰りどんな再会してますか?きっといろんなドラマがあるんでしょうね・・・ ゆっくりの~んびり疲れを癒してください。この時ばかりは誰かに甘えてもいいかもですね。いつもがんばってるご褒美です♪´∀`♪ ~管理人さん今日も夕日きれかったですね~

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    >冷麺さんへ
    はじめまして。
    18きっぷでの帰省、お疲れになったことと思っています。それでも仕事をしていると思えば、ただ座っているだけなので…とボクは思ったのですが?
    どうもいろいろアドバイスありがとうございます。
    そうですね、やはり期間従業員は次へのステップとして考えたほうが良いと、ボクも思っています。期間延長したので、今年いっぱいは田原にいる予定です。それでも考えるというか、結局は満了してその後はハローワーク行って、というような漠然とした計画しかないのも確かです。
    トヨタに来る前に失業保険をもらっていて、それが終わったことが来る原因になったのですが、結局冷麺さんのおっしゃるように、「無駄な時間」を過ごしたように思っています。そして満了しても、同じことの繰り返しかもしれないとも、思っているんです。
    今度はトヨタでの給料という障害が新たに加わるのかなあ、なんて考えているんです。給料面で妥協できなくなって、就職がまた難しくなると思っているんです。
    ところで、冷麺さんはきっと冷麺が好きなんでしょうね。ボクの住んでいる九州(と言っても広いですが)では、別府に美味しい冷麺屋があって、昔はたまに行ったものです。帰っている間に行きたくなりました。別府温泉行って冷麺食べて…でも、渋滞が、なんて考えています。
    また、どうぞ、コメントしてください。お待ちしております。それと、良いお盆休みをお過ごしください。
    >中年Hさんへ
    石川啄木なんですね。日本人として知らなければならない歌なのかもしれないと考えています。昨日から「この山に対する感覚はなんなんだろう」と思っていたところでしたので、まさにそれを解く歌でした。
    それで、この歌をキーワードにして考えたことを書いてみました。中年Hさんの投稿を見て、まさに帰省している人の心に去来する感覚ってのは、これに尽きるかもしれないと、ついつい涙…。
    故郷の『笠山』『姫島』『蔵王山』というのは、みんなが持っているものなんでしょうね。帰省する喜びや悲しみなんてのは、きっとその風景を見ることなんでしょうね。
    と書きながらも、田原の風景を懐かしく思っています。
    ありがとうございまいた。

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    管理人殿
    ふるさとでしっかり鋭気を養ってください。
    『ふるさとの 山に向かひて 言ふことなし ふるさとの山
    は ありがたきかな。』
    管理人殿の故郷の『笠山』『姫島』『蔵王山』是非見せてください!

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    はじめまして。
    私も昨日、18きっぷで帰省しました。久しぶりに自宅のPCに触れ、ここにたどりつきました。
    私は2回目の田原。
    前回満了してから、心の奥に「だめだったら、またトヨタにいくか」という気持ちがどこかにあったのでしょう。
    案の定、気が付けば田原の空気をまた吸っていますw
    まだ、ざっとしか目を通していないのですが、満了も近づいているのでは?
    「もう、ゼッタイにトヨタには戻ってこない!」
    そう、かたく心に誓って荒野に飛び出していかないと、私のように田原に舞い戻ってきてしまうものです。
    満了まで、まだ考える時間が少しあると思います。ぜひ、じっくり今後の人生のことを考えたり、自分の心のうちを整理なさるとよろしいかとおもいます。
    「ひょっとしたら、またトヨタに戻ってくるかも」
    そう思うことがあるなら、さらに延長して、ご自身の今後についてさらに考える時間を得ることをオススメします。
    失業保険もらって・・・という時間は、無駄な時間になってしまうものです。
    老婆心で、ちょっと出すぎたことを言っているかもしれません。無礼だと思ったら申し訳ありません。
    10000人いる期間工の中の一人の、ひとりごとです。

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