蜘蛛の糸、普門寺の紅葉(紅葉2012年)

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」。
多くの人は、カンダタと同じ行動をとるのだろうと、思う。それが人間だし、それが業なのだ。分かっていて人を試すようなことをしたお釈迦様こそ、無慈悲なのではないかと、思う。
自殺者が15年ぶりに3万人を下回るそうだ。
自殺者 3万人下回る見通し NHKニュース
2008年に地域自殺対策緊急強化基金を作り、3年間で100億円を投入したことが奏効したのだろう。生活保護受給者の増加とも無縁ではないはずだ。蜘蛛の糸ではなくて、太いロープを垂せば人の命は助かる。「オレもオレも」とそのロープに群がる人を選別するのではなくて、全ての人を引き上げるという慈悲も必要なのだ。
ただその太いロープはすべて国家というなにかよく分からない本当は目に見えないお釈迦様が垂らしているもので、ボクたちには「ああ、自殺者が減ったね」なんて実感も歓喜もなにもなく、本当のことを言えば「どうでもいいや」なんて人もこれまた多いのも事実なのだろう。
「どうでもいいや」というか「どうにもできない」というぐらい、ボクたちは他人に対しての慈悲の心なんてものを失っているのかもしれない。いかに他人に無関心でいられるか、ということが都会で生きてゆく知恵なのだし、田舎暮らしから逃げ出す理由も、多くの場合はそこにあるのだし。
「そうではないよ、フクシマを見ろよ」なんて言う人もいるのだろうね。でもね、ボランティアなんてのは、他人のためというよりも、多くは、自分のため、にあるのだよ。ボランティアに対して単位を与えた学校もあるそうだけれど、結局就職のためにフクシマに行った学生だってたっぷりいるのだろうし、それはそれで否定はしないけれど、じゃあ、ボランティアってのはなんなんだよ、と、これまた取引、あるいはビジネスの臭いまでしてきて、ボク個人的にはボランティアに対してちょっと気持ち悪さを感じてしまっている。
国家とか団体のロープはあるのだけれど…。例えば寄付はするのだけれど、ホームレスには嫌な顔をする。ボランティアには行ったのだけれど、横断歩道を渡っている老人に「じじい、速く渡れよ」なんて罵声を浴びせる…。
「気持ち悪さ」みたいなもの、たぶん、多くの人にあって、金は出すけれど行動はしない、という人もいたりで、結局、もうそんなことは国家が一手にやってくれなきゃ、みたいに、例えばごみ収集みたいに、なっているのかもしれないし、今後はなるのだろうね。
「車に轢かれた猫が家の前の道路にあるから、早く片付けにきて」なんて市役所の清掃課に怒鳴って電話している猫好きのおばさん…。
もうね、ボクたちが持っていた糸なんてのは、どこかに捨ててしまって、というか、質屋に入れてしまって(国家という質屋なんだけれど)、なんだか善意とか慈悲なんてものは、個人的なものではなくて、政治的、ビジネス的なものになってしまっているのではないかと思っているんだ。
まあ、それはそれで、蜘蛛の糸ではなくて太いロープで全員一斉に引き上げてくれる仕組みであればいいのだろうけれど。それに個人が持っている糸なんてのは、釈迦以上に無慈悲なものだろうし…。
なんてまとまりなく普門寺で考えた…。
蜘蛛の糸 普門寺にて
寺の力、なんてものは、もうないか?

4件のコメント

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    そうそう、自爆営業なんてあるらしいね。来年は「年賀状は非正規社員から買いましょう」キャンペーンをするかなあ。憶えてればだけれど…。
    ゆうメイトのほとんどが非正規社員だとすると、やっぱり年賀状なんて出す気になれないなあ。まあ、そうしたところで何かが良くなるわけでもないだろうけれど…。
    どうなんだろうね。卒年賀状、脱年賀状。

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    郵便外務の非正規従業員の起こす事故の割合やその後てんで補償されずにポイーとか、年賀状の自爆営業なんかを某掲示板の内情スレッドを見て哀しくなりつつもCM見ると「あんなに年賀状出さねーよ」と真っ先にツッコミ入れたり
    郵便局(ゆうちょ銀でもいいや)入口ではちきれん笑顔をお姉さんはくれるんですがバックヤードの皆さんは目が血走ってて…
    民営化してからそのギャップを客に感じさせる現場…大変だろうな…だからといって年賀状棄てちゃダメだからね
    相変わらず支離滅裂で失礼いたしました

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    ゆうメイト、あれはいけないね。郵便局に行くたびになにか嫌な感じになる。それに配達の人もほとんど期間社員とかアルバイトだろうし。
    どうしてあんなに嫌な感じの職場になるんだろう。まあ、こっちの本局は特にかもしれないけれど。
    民営化になって、非正規雇用を増やしたということでは、罪なのかなあ。それにトヨタ式が入って、さらに…。
    失業保険でもあれば、少し考える時間もあるのだろうけれど?

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     「慈悲」の心なんて、人々の中にあるのでしょうか?震災の後は、「絆」だの「助け合い」だの言ってましたが。益々、自分さえ良ければ、という気持ちが強まってるような・・・。郵便局の期間雇用社員は、辞めました・・・次の仕事も決まってないのに・・・言葉は悪いですけど、使い捨てのロボットでした。社員の見下した態度も嫌でしたし・・・(全員とは言いませんが・・・)男のというか、人間の悪い面を見ました。「保身」とか「ご都合主義」とか・・・家の畑で採れた野菜と米があって良かった。にしても、田舎は求人が少ない。。。飲食店やスーパーも、残飯分けてくれればいいのに・・と思う時あります。今の社会は、一寸先は闇です。人も物も使い捨てになって・・・何かに救われたくて、仏教の本を立ち読みしたりする事があります。自殺者が3万人を下回った、なんて事がニュースになるなんて、悲しい国です。他人事とは思えません。犯罪もやってはならないけど、他人事とは思えない・・・。どこが、先進国なんでしょうか?いいようのない怒りがこみあげてきます。よく「暴動」がおきないなあ、と。やる勇気もないですけど・・・女が生きてくのは、大変です。男の人もか・・・支離滅裂な文章、お許しくださいませ。失礼しました。

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