タクシー運転者登録制度が始まります

タクシー運転手は、旅客自動車運送事業運輸規則第三十五条の「旅客自動車運送事業者は、事業計画(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者にあつては、事業計画及び運行計画)の遂行に十分な数の事業用自動車の運転者を常時選任しておかなければならない。」によって「選任」されている。

その選任されている証拠が「乗務員証」で、同第三十七条「運転者を乗務させるときは、次の事項を記載し、かつ、第一項第九号に掲げる写真をはり付けた当該運転者に係る一定の様式の乗務員証を携行させなければならない。」と、その乗務員証は「携帯」していればいだけで、助手席のダッシュボードにキチンと掲示する必要もないものなのだ。だいたい「一定の様式」という曖昧な基準の、たいして権威も、ほとんど何の証明にもならない、飾りだったのだ。(まあ、社員証といったところなんだろうけれど)

ところが今度の登録制度が始まると、タクシー業務適正化特別措置法第十三条 「タクシー事業者は、登録運転者(第十条第二項の規定によりその登録の効力が停止されている者を除く。)で第七条第一項第一号又は第二号に該当していないものを指定地域内の営業所に配置するタクシーに運転者として乗務させるときは、当該登録運転者に係る登録タクシー運転者証(以下「運転者証」という。)を、国土交通省令で定めるところにより、当該タクシーに表示しなければならない。」のように、表示しなければならなくなる。

各社発行の一定の様式の「乗務員証」の「携帯」から、国土交通省で決められた「運転者証」を「表示」しなければならなくなる。

そして「雇入れ後少なくとも十日間の指導、監督及び特別な指導を行い、並びに適性診断を受診させた後でなければ、前条の運転者その他事業用自動車の運転者として選任してはならない。」(第三十六条)という各社独自の「指導、監督及び特別な指導」に加えて「法令、安全、接遇、地理」の講習の受講が義務付けられる。

要するに、選任要件に国が一枚かみますよ、ってことだ。そしてこの登録、新規運転手から始めますという話ではなくて、ボクたち既存の運転手も登録のための認定講習が義務付けられている。その数、全国の法人タクシー運転手308,706人(平成27年3月31日現在)もいるらしい。

この登録制度によって、運転手の質が向上し、利用者がこれまで以上に満足するようになるのだろうか。いや、そうなってもらわなければ困る。だって、308,706人にかかる費用はかなりの額のはずだ。各タクシー会社はその金額以上に手間がかかるに決まっているし、講習の間は売上はないのだから、その損失分を将来の利益にしたいはずだ。

というか、いったい何のために今頃…。そう思っている運転手も多いはずだ。ボクもそのひとりだ。

ボクたち運転手の質が向上したとしても、それが運転手の生活の質の向上に繋がるのだろうか。いや、そういう風にネガティブに考えるのは止めよう。きっとこの登録制度で運転手の質が向上し、そしてボクたちの生活も質も向上するに決まっている。政策とは未来を考えることなのだから。そうして国民の利益のためなのだから、きっと国はそうなることを計算して実施するに決まっている。天下り先を増やすとか、特定の企業を潤すためとか、あるいはただ単に政策を作るためだけに、なんてことはないはずだ。

きっと来年の今頃は、もっとボクたちは平和に安心して暮らしているに決まっている。きっと。

というか、なんだか面倒だね。
#というのが本音…。
##登録が好きなのが役所だったりするのだろうけれど…。
###マイドライバーナンバー制度…。

タクシー運転者登録制度
報道発表資料:タクシー運転者登録制度を全国に拡大します~主な政令指定都市から全ての地域へ~ – 国土交通省

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