月: 2015年5月

追憶 ゴールデンウィーク タクシー物語

追憶 ゴールデンウィーク

Yさんのアパートに行く時に、いつもボクは酒を飲んでいた。酒の勢いで行く、というよりも、照れくささを隠すために飲んでから行った。夜の10時前だというのにYさんの部屋の電灯はいつも消されていた。汲み取り式のトイレのニオイがその頃8千円だったアパートの前に立つと漂ってきていた…
九条どうでしょう? 微妙なアンケート

九条どうでしょう?

戦後70年、ボクたちの知っている戦争は、痛みや苦しみ、あるいは空腹や痒みや臭さ、そんな感覚とは一切無縁の映像の中だけだのものだ。ヤモリやコウモリの住む洞窟に隠れ住んで、空腹にそれら爬虫類や昆虫を食べ、蚤や虱の痒さに眠れぬ夜、なんてことはその映像からは伝わってこない。迷彩…
闇の奥 非正規雇用について

闇の奥

真夜中、悲しいわけでも辛いわけでも苦しいわけでもないのに、泣きながら目がさめた。 人は泣きながら生き続けている。 「ボクがね、生きてきて自慢できることと言えばただひとつ、結婚しなかったことかな。だって相手の女性も、生まれる子供も不幸にはならなかったんだし」なんて話した。…