福祉タクシー券の不正処理

福祉タクシー券の不正処理について、刈谷市の大興タクシーで起きた「水増し請求」を例にして考えてみます。

不正処理の仕組み

福祉タクシー券を「本来の運賃以上の枚数」受け取り、別の乗客の支払いに充てたように装って現金を着服する手口です。

1. 刈谷市の事例(端数記入式)

  • 状況: 運賃1,330円に対し、上限610円の券を3枚(1,830円分)使用。
  • 本来の処理: 券2枚(1,220円分)+現金110円で支払う。
  • 不正の手口:
    1. 運転手が券3枚を受け取り、不足分の110円を自腹で立て替えて会計を済ませる。
    2. 後ほど別の一般客(現金払い)が乗車した際、手元にある3枚目の券を「その客が使った」ことにして社内に提出。
    3. その客が支払った現金から、立て替えた110円を差し引いた500円を着服する。

2. 豊橋市の想定事例(端数無記入・お釣りなし)

  • 状況: 運賃1,330円に対し、500円券を3枚(1,500円分)使用。
  • 本来の処理: 券2枚(1,000円分)+現金330円で支払う。
  • 不正の手口:
    1. 運転手が券3枚を受け取り、不足分の330円を自腹で立て替える。
    2. 別の一般客の支払いに3枚目の券を充当する。
    3. 券の額面(500円)から立て替え分(330円)を引いた170円を着服する。

福祉タクシー券制度の構造的な問題点

この不正(不適切な処理)が起きる背景には、現場のドライバーのモラルだけでなく、「制度の不備」がドライバーと乗客の間に摩擦を生んでいるという側面があります。

1. 現場で「不正」が誘発される背景

  • 支払いの現実: 障害者や高齢の乗車客が現金を持ち合わせていない場合、端数(例:330円)を支払うために額面以上の券(例:500円券)を出すケースが多々あります。
  • ドライバーのジレンマ:
    • 制度上「お釣りが出ない」ため、余分な券を受け取って適切に処理しようとすると、不足分をドライバーが自腹で負担(手出し)することになってしまいます。
    • 自分の身を守るためには、余った券を別の支払いに充てるなどの「不適切とされる処理」をせざるを得ない状況に追い込まれます。

2. 懸念される「負の連鎖」

もしシステムがこの矛盾を解決できない場合、以下のような本末転倒な事態を招く恐れがあります。

  • ドライバーの不満: 不足分を市に請求できないのであれば、福祉券を利用する客は「手間がかかる上に損をさせる存在」になってしまいます。
  • 弱者へのしわ寄せ: 本来、外出を支援するための福祉券が、現場では「迷惑」と捉えられ、ドライバーの不満が障害者や高齢者へ向けられるという、支援の趣旨に反する結果を招きます。

福祉タクシー券不正問題の本質:現場の困窮と制度の限界

行政による規約の追加(「端数は必ず現金で受領する」等の明文化)だけでは、問題の根本解決にはならないという現場の実態と、そこにある「叫び」を整理しました。

1. 行政による対策の空文化

  • 形骸化するルール: 券の裏面に注意書きを増やしても、現金を持たない乗客や、損をしたくないドライバーの間で起きる「現場のやりくり」を止める力はありません。
  • 利便性の欠如: 券の額面を細かくするなどの改善策も考えられますが、本人確認の難しさや転売のリスクなど、紙の券である以上、別の問題がつきまといます。

2. 「不正」の背景にある生存の厳しさ

  • 生活の困窮: 今回の件で問題視された着服額(年間約8.6万円)は、見方を変えれば「生活に困窮するドライバーや利用者の切実な小遣い稼ぎ」という側面があります。
  • モラル以前の問題: 「悪質」と叩く声もありますが、実際には自腹を切ってお釣りを出すドライバーも存在します。制度の不備を現場の善意や「不正」という名の微調整で補っているのが実態です。

3. 社会的な立ち位置への不満と要求

  • 「雲助」扱いへの憤り: 公共性を求められながら、生活保護費以下の低賃金で働くドライバーの現状。長寿や福祉を支える側でありながら、自分たちはその恩恵から最も遠い場所にいるという矛盾があります。
  • 真の支援とは: 単なる利用客への助成だけでなく、過酷な労働環境にある「ドライバー自身への助成金」こそが必要であるという視点です。

福祉タクシー料金助成事業受託会社による福祉タクシー料金助成利用券の不正処理 | 刈谷市議会議員上田昌哉「いつもこころに太陽を」

障害者タクシー料金助成券(豊橋市)
障害者タクシー料金助成券(豊橋市)

2件のコメント

  • ああ、ねずみ捕りみたいですね。深夜の国道なんてどんだけスピード出すんだよ、ってぐらい違反だらけ…。
    代行業者は、まあ、確かにわからんだろうなあ。利用者の罪の意識、なんてことになると、このタクシー券の問題も、んじゃ不正だと分かって「チップだ」なんて言っている利用者にはどういう処罰をするのか、ってことになるんだろうし。

  • 摘発すべき不正がまかり通ってる現実じゃあ。。摘発「しやすい」人間をピンポイントで狙いますよね、ねずみ捕り然りで
    代行業者の白タク行為なんちゅうのも、まずわからんだろうし・・

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