刈谷市の大興タクシーが福祉タクシー券を不正に処理し水増し請求していた問題なんだけれど、どうなんだろう、きっと全国でかなりの数のタクシードライバーが同じようなことをやっているんではないかと思う。だって、それが出来る仕組みなんだし…。
不正処理の概要は「障害者が乗車して運賃が1330円の場合、上限610円の利用権を2枚使用。端数の110円は現金で渡すか、3枚目の利用権に110円と記入して支払う。今回の不正は運転手が3枚の利用権をそのまま受取り、現金110円を自己負担して社内で処理。別の一般客が乗車した際、残りの1枚が使われたように装い、現金を着服していた（新聞から転載）」というもの。
この場合だと、610円－110円＝500円が運転手の着服分となる。刈谷市のような端数記入式のシステムではなくて、例えば豊橋市のような端数無記入回数券式（1枚500円）だと、1330円の運賃で3枚を乗客からいただいた場合は3枚目は無効になりドライバーが330円負担するか、2枚を使用、残金330円を自己負担し、残りの福祉券を別の乗客で使用するという（500円－330円＝170円の着服）ことになる。
この豊橋市式の場合、運転手やタクシー会社ばかりに責任があるかというと、例えば障害者や老人が乗車して現金の持合せがなく端数の330円を支払えず、500円券を3枚出してしまうというよくあるケースでは、不正（と言われる）処理をしないと運転手の手出しになるので、どうしてもやらざるをえないなんてことになる。じゃあ、その不足分を運転手が豊橋市に請求できるのか、なんてことになるし、それが出来ないのなら、福祉券利用客なんてのは有難迷惑になる。そうなるとドライバーの不満は障がい者や老人に向けられて、本末転倒なシステムに陥ってしまう。
3枚出してしまう障がい者や老人に責任の一端があるなんてことは言わないが、その170円なんて端数を「チップ」だと思っている利用客もいるということも事実なんだし、ここは回数券システムを改めないと不正処理なんてことはなくならない。だいたい「不正」なんて認識がドライバーにも利用者にもないのだし…。
この事件を受けて豊橋市の長寿介護課と障害福祉課はタクシー会社との委託契約の内容に「助成料金未満の端数金額については、必ず現金で受領するものとする」という文言を追加し、助成券（福祉券）の裏面に「タクシー料金を上回る金額の利用券の使用はできません」なんて入れるそうなんだけれど、それをしたところでこの不正はなくならない。
ドラーバーとしては端数をもらえるシステムにしてほしいし、利用する側としては無駄なく利用したいのだろうから、もう少し細かい金額にするなんてことにしたほうが良いだろうし…。なんて変えたところで、その利用券が本人のものかなんてことは分からないのだし、それを転売するなんてこともあるわけなんだけれど…。
まあ、貧困にあえぐ老人や障がい者、タクシードライバーが小遣を稼げるものとして、現状のゆるいシステムで良いのかもしれない。大興タクシーが不正によって着服したとする金額なんてのはたかが年間86210円なんだし。「悪質」なんて騒ぎ立てる人もいるみたいだけれど、それほどドライバーの生活も、そして福祉券利用者の生活も厳しいってことなんだ。
中にはお釣りは出せないのだけれど、お釣りを渡しているドライバーもいることを考えると、結局被害者は誰だってことなんだ。それを考えないで、大興タクシーへの処分が甘いなんてことを騒ぎ立てるのも、ドライバーのモラルについて言うのも、いかがなものかと思うんだ。一方では公共性を押し付けられ、一方では生活保護費以下の給料で貧困にあえぐボクたちは、長寿や福祉なんてこととは無縁の世界にいて、相変わらず「雲助」扱いされる。福祉タクシー券に対しての助成金をドライバーに出してくれって話になって、じゃないと…
あとは自粛ってことにするけれど、まあ、市役所もこの件については大目にみていたのだろうけれど、誰かがそこを突いたってこと、そういうことなんだろうね、真相は…。
ってことで、寝るか。
【13.02.08】《福祉タクシー券》大興タクシーが不正請求！知立、刈谷、豊田、安城 各市で発覚。：日本共産党知立市議団

吉田城、春の予感…