木枯らしに岩吹きとがる(紅葉2012年)

木枯に岩吹きとがる杉間かな(芭蕉)

蕉翁最後の東下の旅の途中、元禄四年(1691)閏10月23日新城在住の太田白雪に案内され、鳳来寺山に来た時に詠んだ句だ。

雨上がりの朝、ボクたちは鳳来寺山へ行った。

鳳来寺への参道、あの千数百段の階段を歩いていると、肌寒く感じる風の吹く場所と、少し汗ばむそうでない場所があって、それがキチンと体感できる。

木枯句碑のある場所、一陣の風。

「きっと、芭蕉って、海を、そして荒々しい波を想ったんだろうね」とホッチキスが言った。

なるほど、そう考えれば見えない木枯らしが、岩場に打ち寄せる砕ける冬の白波のように目の前に浮かんでくる。

冷たい木枯しが杉の木の間を吹き通ってゆく。樹間から見え隠れしている岩が尖って見える風の強さである。蓬莱寺山には岩場が多い。
芭蕉(bashoDB)

「樹幹から見え隠れしている岩が尖って見える風の強さ」が視覚的に目の前に現れてくる。そうして、風の吹かない場所では陽の光が頭上の杉の間から差してくる。空の青さとその光がいっそうと寒さを感じさせる。

黄金色の哀しみ。

一ノ門駐車場のイチョウの木…。

拾った落葉を大事そうに持って帰る…。

そのうちどこかにしまい忘れてしまうのだろうけれど…。

また秋が来て、そして北風が吹くときに、きっと何かの拍子に思い出すのだろうね。

時間は、あの落葉のように降り積り朽ちてゆく…。
拾った一葉のようなわずかな時間だけが永遠になるのだろうけれど…。

鳳来寺 紅葉2012年

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廃墟 また冬が来て

1件のコメント

  • 一瞬は永遠なんですよね。最後に頭をよぎるのもそんな記憶なんだろうな、ってよく思います。再び田原さんの文章を読めて嬉しい。書いてくれてありがとうございます

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