医王神古墳・五井古墳群で唯一現存する円墳
2026年2月14日
医王神古墳は、蒲郡市五井町東郷に位置する市指定史跡です。かつて五井町内で確認された「五井古墳群」8基のうち、唯一形を留めている貴重な遺構です。大正15年(1926年)の調査により、古墳時代後期の横穴式石室を持つ円墳であることが判明しました。
姫君を救った「イボ取り」の伝説
この古墳には不思議な伝承が残っています。かつて領主・松平氏の姫君がイボに悩んでいた際、石室の岩の上に溜まった水で洗ったところ、きれいに治ったといいます。これが「医王神(いぼがみ)」と呼ばれるようになった由来です。一方で、欲深い者が岩を持ち出そうとして体中イボだらけになったという戒めの話も伝えられています。
名古屋城築城の歴史を物語る「残石」
石室の天井石が二つに割れているのは、岩を持ち出そうとした時のものとも言われます。しかし実際には名古屋城築城の際、石垣に利用するために割られた「残石(ざんせき)」だと考えられています。岩には石を割るための「矢穴」が残り、2025年の調査では「刻印」も新たに報告されました1。近年は、この築城遺構としての価値にも注目が集まっています。
見学の際のアドバイス
医王神古墳には行くには、国坂峠へ続く市道沿いに案内板があります。しかし、道幅が非常に狭いため、近隣に駐車してから徒歩で向かうことをお勧めします。また、五井山登山の「妙善院ルート」に近接しているため、山歩きと併せて立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
医王神古墳の画像






医王神古墳の地図・行き方
参考文献
- 五井町文化財調査委員会編.『五井の歩き方』.三恵社.2023年
- 蒲郡市誌 本編 – 国立国会図書館デジタルコレクション