十王堂(本町)・保内霊場と観音縁起
2026年1月21日
蒲郡市本町の通り沿いに佇む十王堂は、享保8年(1723年)の創建と伝わります。入り口に立つ「保内十番・十一番 聖観世音菩薩」の大きな石碑は、多くの人に「保内(西国霊場)」の歴史を伝える目印となっています。
十王像と火伏せの観音像
本尊の阿弥陀如来像とともに、堂内にはその名の由来である閻魔大王ら「十王像12躯」が安置されています。
また、保内霊場11番の本尊・聖観世音菩薩は、一説に行基作と伝わる「火伏せ観音」です。元は秋葉神社の場所に祀られていましたが、明治の神仏分離によりこちらへ遷されたと言われます。
圧巻の石造観世音菩薩(10番札所)
向かって左側の祠には、高さ1.85メートルに及ぶ巨大な「石造観世音菩薩」が祀られています。これが保内霊場10番の本尊です。正徳5年(1715年)に地元の念仏講、あるいは領主によって建立されたと伝えられています。
蒲形陣屋の記憶と貴重な道標
境内には「蒲形陣屋 大手門之址」の碑があり、かつてこの地に大手門があったことを物語っています。また、文化年間の秋葉山常夜灯には「左ごゆ 右よし田道」と刻まれており、市内で唯一現存する貴重な「道標灯籠」として知られています。
免租の証「印内石」
また、境内には、当時の領主・松平清昌が町屋敷の住民に対し、12石余りの役を免除したことを示す「印内石(いんないいし)」が置かれています。この石は、かつて免税地域(印内)の境界を示す標識として立てられていたものです。
伊藤天章師が指摘するように「郷土史的にポイントとなるものを数多く伝えている」場所です。
市場神と印内石 – 鵜殿氏から続く蒲郡市本町の物語 – 蒲郡の旅
参考文献
- 伊藤天章.『蒲郡風土記』.蒲郡新聞社.昭和51年.
- 村瀬 亘宏.『保内西国三十三ヶ所 観音霊場巡り』.不明.
- 蒲郡市寺院悉皆調査報告書 – 国立国会図書館デジタルコレクション
十王堂(本町)の画像






