保内西国三十三観音・蒲郡の中心を巡る観音霊場
「保内(ほない)西国三十三観音」は、愛知県蒲郡市の中心部に位置する33か所の観音霊場です。
「保内」という地名の由来
この名称は、かつて宝飯郡の西部を指した「西宝地区」における「宝内」または「保内」という地名に由来すると言われています。
昔、西宝地区は「山の内」とも呼ばれていました。星越から砥神山、五井山、遠望峰山、三ヶ根山へと続く屏風のような山々に囲まれた地域、三谷から西浦にかけての5町村(三谷町、蒲郡町、塩津村、形原町、西浦町)を指していました。その中でも特に三谷町と蒲郡町を「保内」と呼んでいたと言われます。しかし、現在では明確な区分は定かではありません。
巡礼のルート
巡礼路は、総距離は約27kmに及びます。今回は自転車で巡礼を行い、無事に結願(けちがん)することができました。
移動が容易ではなかった時代、本場への巡礼はまさに命がけの行事でした。そのため、身近な場所に「写し霊場」を設けることは、多くの人々の心を救う大切な拠り所となったのです。困難な時代を支えたこの巡礼の精神は、現代においても再び必要とされているのかもしれません。
保内西国三十三観音巡礼地図
勝善寺については、林道を利用するとよりスムースです。また、道迷いした部分もそのまま表示しています。
保内西国三十三所ヶ所 霊場本尊とご詠歌
正眼寺
1番 聖観世音菩薩
「みつのたに、ふかきながらの、たまぶちは、なちのおやまの、きよきたまみず」
2番 再現石像観世音菩薩
「なぎさうつ、あまのもしわの、きよければ、こかわのみずの、きよきとぞしれ」
観音寺
3番 三十三身観世音菩薩
「なぎなうつ、あまのもしほの、きよければ、こかわのみずの、きよきとぞしれ」
光昌寺
4番 聖観世音菩薩
「くもまより、そのあきれきら、ほうしようの、しんによのつきの、いずるまつかげ」
地蔵堂
5番 三十三身観世音菩薩
「かのきしに、へたすうみじは、かんのうの、ぐぜいのふねの、ろかいたてしほ」
庚申堂
6番 聖観世音菩薩
「むらさめの、はるるあなたは、かわちなる、ふじいのみづを、てなすつきかげ」
永向寺
7番 百体観世音菩薩
「ながきよの、ちちよははよと、たずねきて、あわずばなてや、こえのまつはら」
善応寺
8番 聖観世音菩薩
「こえのみづ、にごれどすめど、へだてなく、だいひのつきの、てらさぬはなし」
村中堂
9番 石像如意輪観世音菩薩 玉泉院に移転
「たれもかも、こころのごとく、おもいやれ、ほとけもわれも、おなじごくらく」
十王堂
10番 石像観世音菩薩
「いちびとの、だいじだいひを、あをぐのも、をもふむかしの、いなのたまもの」
11番 聖観世音菩薩
「みつのみと、あらわれたもう、ちかいには、たかきいゆしき、まもらぬはなし」
天桂院
12番 本尊千手観世音菩薩
「とほくとも、よもやももれじ、のりのみち、ちすじのみての、いとにひかれて」
水竹観音堂
13番 三十三身観世音菩薩
「みづきよき、たけすぐかりや、もともに、いまのみのうえ」
安楽寺
14番 三十三身観世音菩薩
「くすのきの、そのなもたかき、みやでら、とりのなくねも、みのりならん」
15番 如意輪観世音菩薩
「はるばると、こころのわだち、めぐりきて、はやくもいたる、ほだらくのみち」
16番 本尊脇立観世音菩薩
「さんがいは、かたくのすみか、このてらは、うきよのほか、じょうどなるなん」
勝善寺
17番 千手観世音菩薩
「このさかを、のぼりてみれば、あととおし、じょうどのみねの、たかきやまかな」
慈恩寺
18番 聖観世音菩薩
「きよくとも、きよくきよかれ、わがこころ、だいひのつきの、やどりたまえば」
枯木堂
19番 聖観世音菩薩
「のりのみず、きよきたのもに、みうえして、いまぞはなさく、ふるきやまのは」
石観音堂
20番 石像聖観世音菩薩
「きよみずの、だいひのつきの、さやけきは、わがしきしまの、あきのそらかな」
長泉寺
21番 石像聖観世音菩薩
「たつたやま、のぼりてみれば、あらとふや、あもわずいたる、ほだらくのにわ」
22番 聖観世音菩薩
「ただたのめ、たのめばうかぶ、ごいのみず、たいひのつきに、くもりなければ」
23番 聖観世音菩薩
「ちひろにも、たとへがたなき、みほとけの、くむにつきせぬ、なかきいずみぞ」
真清寺
24番 馬頭観世音菩薩
「むつのみち、ふみまよわじと、ちかいして、のりのみつえに、みをややすらふ」
五井観音堂
25番 十一面観世音菩薩
「ちりつもる、こころのかがみ、はらいえば、まよいのくもの、はれわたるかな」
薬師寺
26番 三十三身観世音菩薩聖
「にごるよに、すめとこころは、たのおもに、きよきちかいの、つきぞかがやく」
27番 観世音菩薩
「まつしげる、おもりのやまに、あとたれん、みちびきたもう、のりのみちかな」
庚申堂
28番 如意輪観世音菩薩
「つみふかみ、みをももらさず、このやまに、のぼらせたもう、ことぞうれしき」
高雲寺
29番 三十三身観世音菩薩
「このよから、たかきうてなの、ごくらくは、くもにむかいも、むらさきのいろ」
観音堂
30番 三十三身観世音菩薩
「まつばらを、わけてこなたへ、のぼるれば、だいひのつきは、そらにみえますぞ」
知禅庵
31番 石像白衣観世音菩薩
「よろづよや、さかゆるはやあし、まつかぜも、いつもたえせぬ、みのりなりけり」
光林寺
32番 十一面観世音菩薩
「ながきひと、おもいいでしか、このてらに、ついにぼだいに、いりあいのかね」
33番 聖観世音菩薩
「いそぎてぞ、みぐりをわりて、まきやまの、ほとけのめぐみ、たのもしや」「もろともに、ねかいをおさむ、たがのみや、かえるもながり」
ご詠歌については、村瀬 亘宏氏の『保内西国三十三ヶ所 観音霊場巡り』を参考にしました。誤字と思われるものについてもそのまま記載しています。

参考文献
伊藤天章.昭和51年.『蒲郡風土記』.蒲郡新聞社
村瀬 亘宏.『保内西国三十三ヶ所 観音霊場巡り』.不明
五井町文化財調査委員会編.2023.『五井の歩き方』.三恵社
蒲郡史談 – 国立国会図書館デジタルコレクション
蒲郡市寺院悉皆調査報告書 – 国立国会図書館デジタルコレクション
