御油神社:踊山の常夜灯
金野から灰野峠を下りきると、街道沿いの左手に御油(ごゆ)神社の鳥居が見えてきます。ここは、険しい山道を越えてきた旅人たちが、ようやく宿場の賑わいへと辿り着いたことを実感する、安堵の地でもあります。
宿場の歴史を刻む「踊山」と創建の物語
神社の創建は文安元年(1444年)。蒲形(蒲郡)から移り住み、御油城を居城とした領主・稲石(いないし)氏によって建立されたと伝えられています。
古くは「若一王子社(にゃくいちおうじしゃ)」と称され、熊野信仰の一翼を担っていました。明治初期には、境内裏の地名にちなみ一時「踊山(おどりやま)神社」と呼ばれていましたが、明治31年に現在の「御油神社」へと改称されました。
九社の神々が集う、地域信仰の拠点
境内には、かつて御油町青木に鎮座していた青木神社や、河原畑の稲荷社など、計九社が合祀されています。文字通り御油町の神々がこの一堂に会しており、地域の産土神(うぶすながみ)として、住民から今も厚い崇敬を集めています。
旅人が小踊りした「常夜灯」の目印
この神社で最も印象的な遺構が、かつて鳥居前に置かれていた(現在は裏参道に移築)「常夜灯」です。
「一に国坂、二に灰野、三に笹山踊り山」蒲郡から10キロ以上もの峠道を「夜な夜な」歩いてきた遊興の人々にとって、暗闇の中にぽつんと灯るこの常夜灯は、目的地の御油宿が目と鼻の先であることを知らせる、何よりの目印でした。
この灯りを見つけた瞬間、旅人たちは疲れも忘れて小踊りしたといいます。その喜びの記憶が「踊山」という名に今も息づいているかのようです。
街道の結節点、そして次なる宿場へ
神社の前の道をそのまま進めば、御油の追分、そして姫街道へと道は伸びていきます。左へと舵を切れば、隣接する赤坂宿へ。峠を越えた達成感とともに、新たな街道の物語がここから始まります。








- 御祭神 伊弉冉尊
- 例祭日 8月第1土・日曜日
- 創建年 文安元年(1444年)
御油神社の地図・行き方
「踊山神社」新訂三河国宝飯郡誌 – 国立国会図書館デジタルコレクション.
神社を中心としたる宝飯郡史 – 国立国会図書館デジタルコレクション.