竜が滝と二つ岩・水源と雨乞の記憶を辿る
竜が滝と不動明王
五井山の東側、仲仙寺奥の院へと続く参道の傍らには「竜が滝」が流れています。この一帯は御津川の源流であり、古くから人々の生活を潤してきました。1960年代の観光道路開通に伴う環境変化により、かつてほどの勢いは失われたと言われていますが、今もなお源流の清々しさを保っています。
また、現在は十一面観音堂の傍らに鎮座する不動明王像は、もともとこの滝壺の近くに安置されていたものです。戦時中は、出征軍人の無事を祈る家族の人たちのおこもりで賑わったと言われます。
昭和55年(1980年)の観音堂移築に合わせて現在の場所へと移されました。しかし、今も変わらず滝の守護神としてこの地を見守っています。
伝説の巨岩「二つ岩」と雨乞の儀式
五井山の山中には、門岩、蛇岩、天狗岩など、名前の付いた巨岩が数多く点在しています。その中の一つ「二つ岩」は、かつて雨乞の神事が行われた聖域として知られています。古記録によれば、東端の老松が並び立つ場所にあり、松明を焚いて登った人々が「岩下の清水を山上から打ち広める」ことで雨を祈ったと伝えられています。
「二つ岩神社」があったという記録も残されていますが、正確な場所は今も特定されていません。一説には、竜が滝から奥の院方面へ200メートルほど進んだ場所にあるひときわ大きな岩が、その「二つ岩」ではないかと推測されています。
宿場町を繋いだ国坂峠と「仏の道」
かつて西の郡(蒲郡市)から、国府、御油、吉田といった東海道の宿場町へと抜ける主要な街道は3本ありました。そのうちの一つが、この「国坂峠越え」の道です。
国坂から灰野、金割、笹山を経て御油へと至るこの峠道は、古くから多くの人々が行き交い賑わいを見せていました。そして、天平元年(729年)創建と伝わる仲仙寺奥の院への道です。今も歩けば随所に仏性を感じさせる、情緒豊かな歴史の道となっています。
(「国坂峠越え」のほかに、「御堂山越え」(牧山迫〜御堂山〜丹野〜山上〜大草〜広石〜国府)、「星越峠越え」(星越〜御津〜小坂井〜下地〜吉田)がありました)






竜が滝・不動明王の地図・行き方
仲仙寺奥の院・峠の観音様
仲仙寺・行基開山と戦火を越えた歴史を刻む古刹
十一面観音堂(御瀧観世音)
参考文献
豊川市教育委員会編.令和2年.『新版 豊川市の歴史散歩』.豊川市.
五井町文化財調査委員会編.2023.『五井の歩き方』.三恵社.
御津町史 本文編 – 国立国会図書館デジタルコレクション.
蒲郡史談 – 国立国会図書館デジタルコレクション