仲仙寺・行基開山と戦火を越えた歴史を刻む古刹

豊川市御津町金野の山裾に静かに佇む「仲仙寺(ちゅうせんじ)」は、臨済宗の寺院です。山号を竜岳山と称し、その歴史は天平元年(729年)にまで遡ります。聖武天皇の勅令を受けた行基が、自ら六体の観音像を彫り、現在の「奥の院」がある場所に創建したと伝えられています。その後、室町幕府の八代将軍・足利義政によって再興されたといわれる由緒ある古刹です。

戦火を乗り越え現在地へ

天正3年(1575年)の長篠の戦いの際、兵火によって伽藍が焼失するという悲劇に見舞われましたが、寛永18年(1641年)に現在の地へと移されました。境内には、かつての仁王門に安置されていたとされる「仁王尊と賓頭盧(びんずる)1の頭部」が残っています。これらは焼き払われた際に難を逃れたものと伝えられ、往時の面影を今に伝えています。

市指定文化財の梵鐘と数奇な運命の山門

境内にある梵鐘には「文安三年(1446年)」の銘が刻まれており、文安年間に鋳造された貴重なものとして豊川市の指定文化財となっています。 また、山門は数々の移築を経てここへ辿り着いた歴史を持ちます。もとは伊奈城の城門でしたが、廃城後に東漸寺、天保元年に浄宝寺へと移され、大正6年(1917年)にようやく仲仙寺の正門として迎えられました。

三河坂東三十三観音と静謐な境内

仲仙寺は、三河坂東三十三観音の第16番札所です。境内東側には、一体の石碑に三十三体の観音像を刻んだ「一石三十三観音碑」があり、巡礼の歴史を感じさせます。

新しく開通した国道23号線(名豊道路)の喧騒から離れた山裾にあり、今も変わらず静謐で心地よい空気が漂う聖域です。

仲仙寺の地図・行き方

十一面観音堂(御瀧観世音) – 豊川の旅

参考文献
豊川の歴史散歩 – 国立国会図書館デジタルコレクション
豊川市教育委員会編.令和2年.『新版 豊川市の歴史散歩』.豊川市.

  1. 『みと歴史散歩』には「観音像の首」とあります。

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