十一面観音堂(御瀧観世音)
2026年2月21日
十一面観音堂は、五井山の中腹に位置し「仲仙寺奥の院(峠の観音様)」へと続く参道沿いに佇んでいます。かつてはすぐ下の小さな滝のほとりにありましたが、昭和55年(1980年)に、道路沿い1の現在の場所へと移築されました。旧地には、今も当時の名残である石垣の基壇が静かに残っています。
夢のお告げと建立の由来
この十一面観音堂の始まりは大正13年(1924年)、蒲郡市三谷町中浜の住人による建立に遡ります。熱心に奥の院を信仰していた夫妻の妻が、ある夜不思議な夢を見ました。夢の中で彼女が滝の傍らで休んでいると、滝壺から観音様が現れ、「観音経を百回唱え、紫陽花の葉を百枚煎じて飲めば病は癒える」との告げを受けたのです。2
同じ夢を6夜連続で見たので夫が実際に滝を訪れると、そこには十一面観世音菩薩のお札が沈んでいました。この霊験あらたかな出来事をきっかけに、滝のほとりにお堂が建てられたのです。
西国三十三所の写しと「仏の道」
現在、老朽化したお堂の中に御影はありませんが、かつては西国三十三所を模した霊場として、1番から4番までの札所を担っていました。今も残る「ご詠歌」を収めた額が、当時の信仰の深さを物語っています。
奥の院へと続く参道には、かつて石仏が祀られていた石の祠も点在しています。3数ある五井山の登山ルートの中でも、とりわけ仏性を感じさせる趣深い古道となっています。
十一面観音堂の画像









林道ゲートから奥の院・五井山ルートマップ
参考文献
御津町史 本文編 – 国立国会図書館デジタルコレクション