セツブンソウ・石雲寺

セツブンソウの寺として有名な石雲寺(せきうんじ)は、新城市名号(みょうごう)に位置する、浜松市の大本山・方広寺を本山とする臨済宗方広寺派の古刹です。永禄元年(1558年)、琪庵霊光和尚により開基され、本尊には虚空蔵菩薩を祀っています。

水源山 石雲禅寺と言い山号の「水源山」は、境内の至る所から清水が湧き出ていることに由来します。その名の通り、境内には豊かな水を湛える池があります。そして、そこに浮かぶように弁財天を祀る社祠が建立されています。正徳5年(1715年)、中興の幹龍(かんりゅう)和尚が水神への祈願中に白蛇を授かり、これを弁財天の化身と悟って翌年に辨財堂を建立したと伝えられています。

春の妖精・セツブンソウ

寺院の西側には、節分の時期に開花する「セツブンソウ(節分草)」が自生しています。日本原産のキンポウゲ科の多年草で、この地域では石雲寺周辺にしか自生しないと言われるほど、環境の変化に敏感で希少な植物です。

一年の大半を地中で過ごし、早春のわずかな期間だけ姿を現すその姿は「春の妖精」とも称されます。透き通るような白い花びら(萼片)が、春まだ遠い地面に優しく咲く姿は、どこにでも幸せはあるという生き方の根源を語りかけてくれるかのようです。

また、花言葉には「人間嫌い」があります。静寂に包まれた境内の、さらに奥まった場所。つかの間の賑わいの中を、おや、またお客さんだ』と人間を観察している、そんな達観したような佇まいに、心が洗われるひとときでした。

石雲寺とセツブンソウの画像

セツブンソウの特徴

  • 分類: キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草で、日本固有種です。
  • 名前の由来: 「節分」の時期(2月上旬)に開花することから名付けられました。
  • 花の構造: 白い花びらのように見える部分は、実は「萼片(がくへん)」です。本当の花弁は、中心部にある黄色い蜜腺(みつせん)状の小さなパーツです。
  • 短命な地上部: 1月下旬〜2月に地上に姿を現します。花を咲かせ、種を作ると、5月頃には葉が枯れて地下で長い休眠に入ります。一年のうち数ヶ月しか姿を見せないため「春の妖精」と称されます。
  • 絶滅危惧種: 乱獲や環境の変化に弱く、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)に指定されています。地域によってはより深刻な絶滅危惧種として保護されています。

八名郡誌 改訂版 鈴木重安改訂・編 – 国立国会図書館デジタルコレクション 

新城の旅

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