運賃値上げと燃料費高騰について、タクシー運賃値上げで考えたこと
今回のタクシー運賃値上げの理由に「燃料費高騰」があげられている。そして、いよいよ名古屋地区のタクシー運賃改定(値上げ)が行われる。4月27日付けのTranouvaによると「4月22日現在の名古屋地区の運賃改定要請車両数は2697両。申請率は51.55%に達した。」そうだ。
22日からそろそろ1か月、そして締め切りの6月30日まで1か月。申請率は70%を越すのだろうか?
2か月経過後を概観してみた。
1.申請率55.55%の内訳
つばめタクシーグループと名鉄タクシーHD、両グループの車両数が全体の40%ある。運賃値上げ申請を行ったつばめ自動車はもちろん、名鉄の浅野社長も4月に「申請に賛成する」とコメントをしているので、両グループで約2124台(推定)で40.6%の申請率になる。
そのほかに573台程度の申請がある。つまり、合計2697台で合計51.55%の申請率になったと推測できる。
今回必要な3663台まで、あと966台の申請があれば、運賃改定(値上げ)の手続きが始まる。そして11月には値上げが行われ、一年中で一番忙しい年末には会社も運転手も増収、という運びになる、のだろう。
2.燃料費高騰という理由の正当性
ただし、申請した3月から状況は変っていて、4月には「タクシー事業者に対する燃料価格激変緩和対策事業」が始まり、1月27日からの「燃料高騰相当分を支援」されている。
ボクは以前から今回の運賃値上げの理由「燃料費高騰」を疑問視している。なぜならば、
- 補助金が出る/出ている(愛知県では1月までに1台あたり26000円の支援金を受けている)
- 燃料費は上下する
という事実があり、
- 燃料費の補助を受けながら、利用者にも負担を求めるということは、二重に徴収することになりはしないのか?
- 燃料費が下がった場合は、値下げするのか?
- そして、新型ジャパンタクシーの導入で、燃料費は節約できているのではないのか?
と考えているからだ。
それならば、サーチャージ制のような仕組みのほうが正しいのではないのか、ということだ。
3.災害、その他の理由で異常な原価
今回の申請理由は
- 原油高に伴う燃料代高騰
- 新型コロナウイルス感染拡大の影響
この2つが経営を圧迫しているとしている。
燃料代高騰については、上に書いたとおり、「感染拡大の影響」ついては新型コロナ感染症の影響は今はほとんどないのでは?というよりも、その影響による補助金や、対策事業も行っているのではないのか?
そして、いつまでも「コロナせい」というわけにはいかない。実はもう既に「ニューノーマル」な生活になっているのではないのか。もう2019年以前の祭りは終わり、2020年、2021年の赤字分を補填するような値上げは正しいのか、ということなのだ。
4.経営は正しいのか
経営努力もなしに、あいかわらず運転手の自発的な努力による営業、歩合給による賃金制度は変えずに、もうからないから値上げしろ、と言っているようなものだ。さらには、相変わらず昔からの問題は放置されている。
いや、値上げやってほしい。
ただし、燃料代高騰や感染拡大という過去の理由ではなく、運転手の労働条件改善のため、に運賃値上げを行ってほしい。第一交通産業の値上げ理由がそうだったように。
そうしなければ、タクシーは、バクシー(名鉄社長の「バスとタクシー」)なんてものや、違うプレイヤーが参入して、縮小され淘汰される。
いや、なくなったほうが良いのかもしれない。そして新しい人たちが、新しい移動を考えれば良いのではないのだろうか…。