観光タクシー、既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業について
「ほの国おいでんタクシー」(ほの国おいでんタクシーにおいでん)は、国土交通省観光庁の既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業でした。「新城市モニターツアー」も同じですが、「区分3 自治体・DMO型」事業になります。
令和2年度3次補正予算事業 既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業
応募者は、地方公共団体・地域観光づくり法人(DMO)、宿泊事業者・旅行業者いずれかの参加が必須となっています。
新城市モニターツアーは、一般社団法人奥三河観光協議会(愛知県新城市)が採択事業者となっています。そして、名鉄観光、宿泊業者、豊鉄バスや豊鉄タクシーなどが参加しています。
*愛知県では他に岡崎市や一社知多半島観光事業協会(南知多町)が、全国では102の事業者が採択されました。
(令和2年度3次補正予算事業 既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業 採択結果・交付申請様式)
新城市モニターツアーは4つのプランがあります
- ツアー01 シャトルバスプラン 最大乗車40名まで
- ツアー02 タクシープラン 1名から
- ツアー03 貸切バスプラン 各界最大15名
- ツアー04 アプリを使ったマイカーフリープラン
タクシープランについて
このうちタクシープランは、
- 新城駅・もっくる新城発か、東栄駅・湯谷温泉発
- 奥三河地域(新城市、東栄町、豊根村、設楽町)内を
- コースはお客様が決めていただく
ものになっています。
最短4時間、最長8時間までタクシーを自由に利用でき、タクシー運賃は無料です。。
3つのモデルコースが用意されています。しかも、自由度の高いものになっています。例えば、その場で「次はどこに行きたい」と決めていただけるような設定になっています。
運転手は観光案内をしませんので、運転だけになります。とはいえ、新城市内の豊鉄タクシーの運転手はベテランぞろいです。きっと、楽しいお供ができるはずです。
実際に貸切で運行となると、認可されている時間制運賃が適用されるので、
- 最初の30分3,510円
- 加算15分毎に1,750円
- 4時間で28,010円
- 8時間では56,010円になります。
56,010円、この料金だと高いと感じるかもしれませんね。
奥三河地域は見所満載なのです。しかし、電車やバスでの移動では、行くことが困難だったり、時間がかかったりします。そこで、タクシーで、と考えたとしても、この値段では、あきらめる人も多いのではないかと思います。
さらに、ベテランぞろいのタクシーも、台数や営業時間が限られています。そのため、いつでもどこでもと言うわけには……。
観光地と公共交通空白地の抱える問題
そのことは地域住民にとっても同じです。新城市の山吉田地区では「山吉田ふれあい交通」という自家用有償輸送を行っています。(公共交通空白地、地方の移動について(2))
ほかの観光地でも同じ悩みを抱えています。観光資源はあるのだけれど、アクセスできない、とか、活用できていないとか、そんな地域も多いのだろうと思います。
公共交通だけでは、今の制度では「既存観光拠点再生・高付加価値化推進」に対する移動を賄えることが困難な状況です。
観光客を優先したほうがタクシー会社の収益率や生産性は向上するかもしれません。ところが、今度は地元住民の移動に影響が出ます。
そのことは、この事業だけではありません。この国の公共交通空白地の抱える問題でもあります。ということもあり、Uber、ライドシェア、自家用有償が許容できないのなら、上下分離方式などの方策を考えなければなりません。
観光資源が豊富な新城市とはいえ、昨年、新城交通(ツジムラタクシー)が廃業し、豊鉄タクシーが譲受してなんとか住民の移動が確保されています。
タクシー事業者も利益がなければ倒産します。私たち運転手も従業員も、エッシェンシャルワーカーという称号を与えられた普通の会社員です。(なぜ地方のタクシー事業者の倒産が続いているのか)
観光タクシーと一般タクシーとの共存共栄
どんな方法でも良いのですが、まずは健全な経営が出来るように、そして私たちが普通の生活が出来るような仕組みを、作ってもらいたいと、そして作らなければ、そう思います。
まあ、前回、今回と令和2年度3次補正予算での国土交通省観光庁の既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業のことを投稿したのですが、解かる人には解かると思うのですが、こうした単発の事業はありがたいのですが、根本的な問題解決にはならないのです。