待ち時間料金は適正に運用できているのか
愛知県タクシー協会の会員事業者(名古屋交通圏を除くすべての交通圏、名古屋交通圏は名古屋タクシー協会の管轄下)で「タクシーの配車申し込み時の速やかなご乗車」を目的とした、待ち時間料金制度が始まって8月5日でちょうど1年になる。
タクシーの配車申し込み時の速やかなご乗車について【お願い】愛知県タクシー協会
業界の悪しき慣例
時間予約をしながら、その時間に乗車しない利用者がいる。そして、5分10分、中には平気で1時間待たせる強者もいる。(ボクの経験した最長待ち時間は40分)それがタクシーの生産性を下げる原因と、運転手とお客様のトラブルの原因になっていた。
時間予約をしてキャンセルならまだ解る。それなら、「次のお客様」となる。例えば、回転寿司でも歯医者でも「次の人」だ。しかし、タクシーの場合、待たされる。到着後に準備する人もいる。いや、到着が目覚まし時計という人もいる。とにかく、待つ、待たされる。
その待ち時間に対するペナルティが運送約款になかった。そして、慣例化していて、いつも泣くのは運転手だった。キャンセルについても同じで、どんだけ待たされても、そしてキャンセルになっても、よくて初乗り料金で終わり、なんて時代が長く続いる。悪しき習慣。
時間になったら料金が発生する、そんな当たり前のことが、画期的というような言葉とともに、始まった。そうして1年が過ぎた。当初、料金に対するトラブルが起きることを予想していた。しかし、ボクの知っている限り(狭い範囲だとしても)、ない。
やはりお客様も「当たり前」だと考えていて、タクシー事業者や協会のほうが運転手に対して「我慢してね」と、見て見ぬふりをしていたのかもしれない。労働組合だって見て見ぬふり。
時間と精神の損失
運転手のなかには「遠慮して」とか「もめるのも嫌だし」なんてことで、待ち時間メーターを押さない人もいて、適正に運用できている、とも言いきれない。たしかに「たった5分や10分」なんだろうけれど、これが10回にもなると、1日に50分とか100分になって、そして会社全体、業界全体になると大損害になる。
この待ち時間メーターのほかにも、キャンセル料の問題もある。ずいぶんと雑な経営をしてきたようにも感じる。会社の損害というよりも、歩合給で働くボクたち運転手の損害(泣き寝入り)になっていた。だから、表面化しなかった。
まあ、そうは言っても、次のお客様が待っているような需要があればの話で、供給過多の現状では10分待っても「まあいいか」になるのも理解できる。しかし、料金よりも10分という時間、待つということが、ストレスになる。そいてそのほうが怖い。ストレスは事故の要因だからだ。そして多分病気の原因にもなっていると思う。たった10分が、積もり積もって、ということだ。
時間を守りましょう
ということで、まあまあ適正に運用され、効果があると、個人的には感じている。それよりなにより、まあ、みんな時間は守ろうぜ、という簡単なことなんだけれど、そしてそれがボクたちの幸せにつながるので、どうぞ時間予約したら、あるいは到着ご案内後は速やかなご乗車をお願いします、というで、世間の人と人の繋がりが適正に運用されれば、問題ないことなんだろうと、考えているんだ。
約束を守れよ、ということだけの話。守れないから、メーターを入れます、というだけの話。なのだ。
タクシー車内で配布しているマスクと除菌シート