労務倒産、なぜ地方のタクシー会社の倒産が続いているのか(2)

コロナ禍での乗務員の減少が止まらなければ、労務倒産の危険性がでてきます。需要が回復したとしても、供給できない状況に陥ります。人はツバメではないので、一度退職すれば同じ会社に戻ってきません。

前回、なぜ地方のタクシー事業者の倒産が続いているのかで、地方の中小タクシー事業者が廃業している理由として、

  1. コロナ禍での営業収入の激減と支援
  2. 設備の交換、新設費用
  3. クラウンコンフォートからジャパンタクシーへの車両代替
  4. 利益構造 人件費
  5. 最低賃金
  6. 地方の所有台数10台規模の事業者には不向きなタクシーの未来

をあげました。また、キングタクシー廃業 でも、私見を述べました。

そういった理由の前に、経済政策やオリンピック開催ということも地方の中小タクシー事業者の経営を圧迫していて、コロナ感染症が追い打ちをかけたということで、コロナ前から倒産は準備されていて、コロナ禍での営業収入減少が止めを刺したのだし、これからも今のタクシー業界の流れでは、地方の小規模事業者は倒産する運命にあります。

出来高払制歩合給と労働環境

そして、なによりも、業界の発展を妨げていた/妨げているのは、解かりにくく不透明な歩合給による賃金制度なのです。諸刃の刃である歩合給と、それに繋がる労働集約型と言われる産業構造が、タクシー業界の労働環境を悪化させています。歩合給が乗務員の労働条件と健康を悪化させ、それだけではなく、教育の機会を奪い、転職を促進しながら、高齢化を増進させます。「やらなくていい人」と「やらない人」問題が、経営を悪化させます。さらに、歩率の良い会社、儲かる会社に人が集まる。地方の年収200万円台の事業者は、労務倒産にも怯えなければなりません。

売上が2/3、1/2になったとしても、自己責任、努力不足、労働集約型産業の宿痾、歩合給制度の被害者はいつも乗務員のはずだった。
ところが、今回の新型コロナ騒動、売上が2/3、1/2、20万円なんてことになると、出勤すればするほど、走れば走るほど、赤字になる。最低賃金で守られている乗務員には、底があるが、企業には倒産しかない。
危機感のない人たち

昨年の4月1日に書いたように「企業には倒産しかない」のです。さらに、人が集まらない会社は労務倒産が待っているのです。

歩合給にしておいて、売上が下がれば人件費(経費の70%)も下がるから良いや、なんて呑気に考えていられるのは、最低賃金も払わないようなブラックタクシー会社だけなのです。

公共交通と相性の悪い賃金制度

そもそも、公共交通、エッセンシャルワーカーと歩合給は相性が悪いと思います。書いてきたように、歩合給が労働条件を下げながら、サービスの質を下げる。悪い評判と、悪い労働条件、不透明な賃金、それらが若者の入職を難しいものにする。

公共交通、エッセンシャルワーカーというのならば、歩率で入職するようなシステムではなくて、理念や思想で入職する人を増やさないと、ただ儲かるとか、自由だとか、そんな歩合給と歩合給的な制度では、無理なんです。

そして、歩合給をもとにした経費概念や事業のやり方も、もう限界にきていると思います。そもそも健全ではないということなんです。
そんな配車を含めた戦略的なことも書いてみたいと思っています。

「人手不足」倒産がさらに深刻化へ、東京商工リサーチが独自データで解説5月8日のコロナ5類移行の前から働き手の流動化が加速している。「人手不足」の深刻度は企業によって濃淡が分かれ、企業の実力や好感度、将来性のバロメーターの様相も呈している。そうしたなか、資金力の乏しい中小企業はコロナ禍からの立ち上がりが遅れ、「人手不足」にも巻き込まれている。デジタル投資などの省力化投資を推進し、賃上げで採用を強化する企業がある一方、採用が難航し、営業機会を消失した企業もある。「人手不足」が企業の将来を左右するキーワードになっている現状を取材した。
「人手不足」倒産がさらに深刻化へ、東京商工リサーチが独自データで解説 diamond.jp
「人手不足」倒産がさらに深刻化へ、東京商工リサーチが独自データで解説

コロナ禍従業員休み癖 東京交通新聞記事 労務倒産

「コロナ禍、従業員に休み癖」東京交通新聞2021年2月22日付。

4件のコメント

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    Mさん、おそくなりました。
    最近体調が思わしくなくて…。

    ありがとうございます。このまま残ってもらいたいとの、四国遍路とかもここにまとめようかと思っていたところだったので…。

    ありがとうございました。

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    ジュゲムに問い合わせしました

    ブログ事業譲渡の後もブログ名の後ろにつくURLはjugem.jpのまま変わらないそうです

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    Mさん、こんにちは。
    Mさんのコメントで知りました。

    そうですね。あの頃、ブログ全盛期の頃、ジュゲムにしたのは、確かcooさんという人の影響だったようにおぼえています。

    この1年、Twitterでつぶやくことをしてみたのですが、このブログのほうが、ボクのつぶやきには合っているようにも感じています。

    15年、なにも変わってはいなくて、やっぱりダメなことばかりです。

    ありがとうございました。

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    ジュゲムのブログ事業売却が決まりましたね

    残念です

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