地方のタクシー、地方の移動について(4)

新城市の問題を踏まえ、地方の移動について、地方のタクシーについて考えてきました。今回もその続きです。

攻めるタクシー事業

寡占的に営業していたタクシー事業者が廃業しタクシー空白地ができてしまったとしても、、交通圏の問題、や参入規制により、その空白地を埋めることが困難だということが、新城市の事例で分かった。結局、豊橋市の豊鉄タクシーが営業区域外運行を認めてもらい、新城市内で営業を始めることになった。

「ほうてつ」やめる豊鉄タクシー 鉄道グループ探る反転:朝日新聞デジタル
「ほうてつ」やめる豊鉄タクシー 鉄道グループ探る反転:朝日新聞デジタル

道路運送法で「一般旅客自動車運送事業者は、発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送をしてはならない」と定められているので、隣接した地域だとしても、営業区域(恐らく営業区域=交通圏で申請する事業者が多いと思います)が違っていれば(発着地に営業区域が含まれない)客扱いできない。

これ、乗車拒否じゃないんです!理解しておきたいタクシーの乗車禁止ルール&マナー5つ
これ、乗車拒否じゃないんです!理解しておきたいタクシーの乗車禁止ルール&マナー5つ – JapanTaxi(ジャパンタクシー|旧:全国タクシー)

区域外運行の問題点

この区域外運行の問題点は、運賃が違うということだ。タクシーの運賃、料金は交通圏ごとに決まっている。それは、隣町のタクシー会社のほうが安い(高い)ということになると、交通圏での需給調整に瑕疵が生じる。だから、一歩隣の交通圏に入ると運賃、料金が変わる。それが今回のように必要とされている営業区域外運行の妨げになっている。地域特性を無視した交通圏設定が空白地を生む原因にもなっている。そして交通圏ごとの運賃差が空白地をさらに広げている。

また、先般話題になった「変動制運賃」なのだが、この交通圏での運賃差も(地域による、あるいは応需による)変動制運賃そのものなのだ。

その交通圏での運賃差をどう解決し、どのように運行するか。これにはソフトメーターの導入により、GPSによる地域判定の自動化と、その地域に対応する運賃の自動計算、そして「変動運賃」に対応してゆくしかないと思う。都会仕様の「変動制運賃」ではなくて、地方の移動が困難な地域仕様の「変動制運賃」の導入。そのためにはセットでソフトメーターの導入が求められている。あるいは、運賃制度そのものを改正する。そう考えている。

地域交通と運転手の貧困化

タクシー事業そのものが、地方と都市部では違うものになっている。日車2万円程度で、いよいよ乗務員は貧困化する地方の運転手。一方、東京では、このコロナ禍でも日車3万円を超える。地方のタクシー事業に未来があるとしたら、公共に資するという原点に帰った施策こそ必要なのだ。そのために、変動制運賃やソフトメーターもボクは賛成だったりするんだけれど…。

    1. 公共交通空白地、地方の移動について(1)
    2. 交通圏の問題、地方の移動について(2)
    3. タクシー・ハイヤー事業への新規参入、地方の移動について(3)
    4. 地方のタクシー、地方の移動について(4)

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