歩合給で働く理由 労働組合論(4)

どうしてボクたちは歩合給で働くのでしょうか?そして歩合給はボクたちを幸せにするのでしょうか?

歩合給で働く理由

歩合給で働く、その出来高制歩合給制度がボクたちにより多くの利益をもたらすのであれば良いのだけれど、どうも経営側に有利なようです。なぜならば、労働集約型産業であるタクシー業界では経費の75%が人件費で、その人件費が歩合制なので、ボクたちの売り上げの減少は、そのままコストの減少となり、経営側はそれほど大きく損をしないという仕組みだからです。

経営側にそれほど大きな損失がないとしても、働くボクたちには、例えば、体調不良でいつもの月の半分しか売り上げがなかったとしても、最低賃金を下回らない限り、その半分になった売上に対する賃金しかもらえないということです。

極端な話、ボクたちの収入が0になったとしても、会社は困ることはないのです。空いたタクシーに違う人が乗って売上を運んで来ればいいだけのことなのです。鵜飼いの鵜がボクたちなのです。

それに、タクシー業界自体がセイフティネットという側面を持っています。その結果、競争資源に恵まれていない労働者が入ってきます。つまり、歩合制という市場競争の原理に相応しくないのです。例えば、年金受給者に依存した労働力です。これは、歩合給で働く労働者の合理性や有効性がありません。経営者側にとても都合の良い制度なのです。

鵜飼になって搾取する人たち

それを解かっていながら、労働組合は反対しないのでしょうか?競争を煽り、労働者を荒波へ投げ込むような制度を黙認しているのでしょうか?労働者のみかたではないのですか?

そうして「公共」なんてわけの分からないものまで押し付けらる。「幅広いニーズに的確に応えることや、創意工夫を凝らしてサービスの高度化や高質化に積極的に取り組むこと」(特措法付帯決議)を決められ、仕事は多様化し複雑化する一方なのに、それなのに歩合給で働かなければならないのでしょうか?歩合給で働く、ではなく、出来高制で働かされているのです。

それが労働組合の正義ですか?

歩合給を捨てよ

ボクたちは経営側に騙されているように思えて仕方がない。その歩合制こそが、あなたたち労働組合の政策にかかげる「年収改善」とか「労働条件改善」の足かせになっているのではないのですか?

歩合制賃金を捨て、今すぐにでも固定給にすれば、すぐにでも全産業労働者の平均年収になるのではないのですか?簡単なことなのですよ。それをあえて、そう、あえてしないのは、「企業経営健全・労使関係溶解・労働組合無力化」そのままではないのですか?

解かりきったことに手を付けないで、組合費だけをむしり取る。そうしてわが身の出世だけを考える。これが労働組合の姿としたら、もうこの国に未来はない、そう思うのです。

自動車運転者(男)の賃金の推移 歩合給のタクシー運転手が最も低賃金です 歩合給で働く理由
出典:タクシー運転者賃金・労働時間の現況 全国ハイヤー・タクシー連合会1

健康格差とタクシー 労働組合論(1)「健康格差」NHKスペシャルを見た。 低所得者の人の死亡率は高所得者の人のおよそ3倍も高いそうだ。そして非正規労働者の人は正社員よりも糖尿病を悪化させる割合が1.5倍高いそうだ…
続きを読む
 kixxto.com
健康格差とタクシー 労働組合論(1)

全国自動車交通労働組合連合会(全自交) l ホーム

自交総連TOP

  1. タクシー運転者賃金・労働時間の現況 (令和3年 賃金構造基本統計調査)

2件のコメント

  • blank

    どうも。
    労働組合は、強者側で考えるか、弱者側で考えるか、そこが問題なんだろうと・・・。
    そうして複雑化する業務と、サービスということを考えると、歩合給だと運転者負担が増大するということ、それに、Uberや自動運転のこともさらに考えると、もう固定給で、それなりの給料を支払える会社運営が求められている時代なんだろうと、思っています。
    それに新卒者や若い人の雇用促進も考えると、固定給でしっかりと生活設計できるためには。
    現状の平均年齢56歳なんて人たちを基準にすると、ちょっと話がぶれてくるのだろうと考えています。
    労働組合は、例えば、宗教的であるべきだろうと、思っています。

  • blank

    こんばんは。
    歩合制のよい点としては実力がきちんと給料に反映される、その際上司による恣意的な評価にならず成果に対し客観的であるといったところではないでしょうか。
    努力が報われるという意味ではプラスではないかと思いますし一般的な労働者より遥かに高額な収入を得られる場合もあります。
    完全に固定給にしてしまうと今まで成績が高かった方にとってはマイナスになりやる気を失ってしまうといった面は否定できません。
    そう考えると歩合の要素を完全に排除するのは難しいのではないかと考えた事はあります。
    またタクシーでそうするためには
    ・一切の流しや客待ちでの営業を禁止
    ・特定の乗務員の指名も一切禁止
    にして全て会社側で管理しないと個々の売上や稼働をほぼ同一にできないのではないのでしょうか。
    もしくは一定の金額で定期契約する形での法人向けに特化するか。
    あと歩合制にも大きく分けると
    ・原則最低賃金またはそれに近い分は保障されているもの
    ・100%歩合で一切の保障がないもの
    と2つありそれによって考え方は変わってくるかもしれません。
    労働組合についてですが労働組合の幹部になるのが出世コースとなっている、事実上強制的に加入させられるユニオンショップ制、核や原発反対など労働者の地位向上とはあまり関係のない運動やそういったものに金が使われる、一定の役職以上は組合員でなくなる(組合からみれば敵になる)、複数の組合がある場合全ての組合を経営側が公平に扱っていないといったあたりもおかしいのではないかと思います。
    あとかつてはあまりに過激な行動を行ってきて世間から支持されなかった反省からか近年は活動自体比較的穏健なところが多いでしょうか。ストなんかもそれほど聞かなくなりましたし。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA