逃げる理由 〜拝啓 豊橋警察署長殿〜

逃げる理由。検挙率が圧倒的に低いから、当て逃げやひき逃げをする。

つまり「捕まらないから」というのが、ひき逃げや当て逃げをする。つまり、逃げる理由なのだ。

警察も人身事故にならない限り、いやもっと言えば死亡事故にならない限り、犯人検挙に真摯に向き合わない。これだけ防犯カメラやNシステムなんて追跡装置が発達しているとしても、それをひとつひとつチェックするなんて時間と人の余裕がないのだろうと思う。

県境をまたぐ事故なんてのは特に面倒くさいのだろう、さらに検挙率は下がる。と思う。

下のグラフは犯罪白書の「交通犯罪の動向」「ひき逃げ事件 発生件数・検挙率の推移」だ。この数値を見ても死亡事故に限っては高い検挙率を維持しているが、全検挙率(ひき逃げである)は50%というかなり低い。(この数年上昇しているが、平成15年周辺は20%という体たらくぶりである)

死亡事故以外は「けっこう逃げ切れる」のだ。

当て逃げになると、かなりの確率で逃げ切れる。おそらく検挙率20%程度かもしれない。(根拠はないが)駐車場で擦ったぐらいの事故だと10%以下になるかもしれない。もうこうなると逃げたほうが勝ちだ。この「勝ち」が逃げる理由になる。

法務省も「死亡事件に限ると,検挙率はおおむね90%を超える高水準で推移している」と、死亡事件に限定して高水準だということをこの白書で宣言している。死亡事故だけは真面目に捜査するってことだ。テレビの「警察24時」なんて番組で、道路に這いつくばって遺留品を探している捜査員の姿を見るけれど、あれも「死亡事故」に「限って」いる。

ひき逃げ事件(人の死傷を伴う道路上の交通事故に係る救護措置義務違反)の発生件数及び検挙率の推移(最近20年間)は,1-3-1-2図のとおりである。発生件数は,平成12年以降急増したが,17年から10年連続で減少し,26年は9,231件(前年比468件(4.8%)減)であった。検挙率は,8年以降低下していたが,17年からは上昇している。死亡事件に限ると,検挙率はおおむね90%を超える高水準で推移している。

ひき逃げ事件発生件数 検挙数 推移グラフ

平成27年版 犯罪白書 第1編/第3章/第1節/2

捕まる確率が低く、そうして厳罰化の今日においては、当て逃げやひき逃げしたら「逃げる」という心理状態になっても不思議ではない。

検挙率と事件の重大性は比例する。

事件の重大性と検挙率相関グラフ 逃げる理由

そのことをボクたちは薄々気が付いている。だから事故を起こした瞬間に「逃げる」という選択をしてしまう。人身事故でも50%の検挙率なら逃げ切れるかもしれないと思うに決まっている。だって50%だもん。根拠はないが、夜間に限ればこれもまた低くなるに決まっている。20%なんて数字になるはずだ。

どんな事故でも死亡事故と同じように「真面目に」捜査し、検挙率を上げれば逃げようと思う人も少なるはずだ。警察の捜査に対する態度がひき逃げや当て逃げの抑止力になる。

キチンと捜査しろよ、なんてボクたちが思ったところで、やっぱり・・・。

この検挙率の差を縮めることが、当て逃げやひき逃げを減らすことにもなる。それでも、やっぱり面倒、いや、余裕がないのだろう。それに事故を矮小化する傾向もあるので(*1)、そのことがさらに検挙率を低くする。悪循環なのだ。

警察がお粗末、それが逃げる最大の理由なのだ。そうして相変わらず交通死亡事故ワースト1位という不名誉な記録を13年も続ける。検挙率(検挙力)こそ犯罪抑止力なのだ。ことを分かっていないからこういうことになるのだ。

(*1)警察が事故を矮小化する理由として警察署の評価ということと、愛知県の交通死亡事故が毎年全国ワースト1位の汚名返上という焦りなんてものもあるのだろう、計上漏れ(たぶん意図的)が過去にある。重傷を軽傷に、人身を物損にするくらいは計上漏れに比べれば、たぶん「容易いこと」なのだろう。そういった隠ぺい体質みたいなものが、あると思う。

交通死亡事故件数について県警が過去21年間にわたって計上漏れを続けていた問題で、豊橋署は同署管内で起きた死亡事故の計上漏れが21年間に計42人あったと発表した。
(東愛知新聞:本日のニュース(20131229))

愛知県の交通事故死者数がワースト1の理由

交通事故死:愛知が13年連続ワーストに 2015年 – 毎日新聞

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