白タクどうでしょう?
さらにもう一度、白タクについて・・・。
確かに便利だろうと思う。
ボクがタクシー業界にいなかったとしたら、Uberなどのライドシェアに賛成していたと思う。「ふざけんな業界、規制緩和しろ!」と書き連ねているかもしれない。だって、安いんだもん。
需給ギャップ
それに山間部やへき地だけではなくて、週末の繁華街のタクシーの供給不足といったら、これがクルマ社会ニッポンの風景か、という感じでタクシーが一斉に街から消える。積雪や地震、台風なんて異常気象時には「神待ち」の状態、乗り場には長蛇の列ができる。まるで配給を待つ難民のようだ。(確かに交通難民なんだけれど)
平日は規制強化しなければならないと思えるほどの過剰気味で、都市部のタクシーベイでは二重三重駐車になり、今度はタクシーが長蛇の列をつくる。タクシーは交通渋滞の原因にもなり、環境にもよろしくない状況が続く。
これもそれも、需要が偏り過ぎることと、労働集約型という業界の特殊性のためなのだ。
その労働集約型のために常にタクシー運転手の募集はある。リーマンショックだろうがオイルショック(古いか)だろうが、ショックに強い業界で、そのことが「雇用の受け皿」として失業者や中高年、高齢者の雇用の安定の一助になっている。セイフティネットとなっていることも確かだ。ボクも救われた。
雇用問題とタクシー産業
しかし(ボクが業界にいなかったとしたらこう言うだろう)、雇用の安定は政策で考えることで、業界に依存すべきではないし、既得権化してしまってはその利益のためにさらに岩盤規制を敷くという悪循環が業界の停滞と交通の渋滞と交通難民の増加と環境の破壊をもたらしているのだから、国民は業界のために不利益を被っている。一方的にだ。政治家と業界の既得権益と雇用の安定という大義名分のためにだ。それははたして正義なのだろうか・・・。
交通弱者救済
今も、こうしている間も交通弱者は増え続けている。その孤独死は交通難民であったということが原因かもしれない。そう考えると、ライドシェアこそが交通弱者を救い地球環境を救い国民の命を救う、のかもしれない。自動化になればさらに移動という今はまだ高価なものがとても安価にとても便利に、いつでもどこでも誰にでも利用できる。ちょうど携帯電話市場のように。
ボクたちは移動困窮者なのだ。1キロとか2キロ移動するのに食事一回分を支払うなんてバカげている。そんな金はない。それなら歩く。そうして歩いているボクの傍を運転手だけのクルマが何十台も何百台も走っている。人類最大のムダなのだ。そのためにインフラとして道路が造られ拡張され伸長される。これまた国家最大のムダだ。ムダなだけではなくて、クルマ社会がムラ社会を消滅させ、ドーナッツ化なんて街の構造を変えてしまった。まるで経済ゲームと同じで、消費するために生産しているのだ。まったくマヌケだ。
白タクとライドシェア
そのムラ社会と街の再築のためにライドシェアが救い主になるかもしれない。シェアするというムラ社会では当たり前のことをボクたちは忘れ去ってしまった。困っている人を助けるなんて相互扶助の精神を捨て去ってしまった。今は、その喪失してしまったボクたちのシェアの精神、相互扶助の社会を再構築しなければならない時代なのだろう。
でもね、ライドシェアが始まったとしても、白タクが解禁されてUberがそこいらを走ったとしても、交通難民は救われない。週末には供給不足が生じ、高齢者は相変わらず見捨てられる。そうして逆に雇用の受け皿はなくなり、セフティネットも失われ、再構築しようとしたムラ社会なんてものとはほど遠い、超格差社会が現れる。メチャ難民化する。
だって、週末の酔客を素人のドライバーが乗せたいと思うか?動けない老人を、病人を一般の人が乗せて病院まで行こうと思うか?その逆のなんの病気かわからない人を病院で乗せようと思うか?そもそも見ず知らずの人を後部座席に、あるいは助手席に乗せて運転したいと思うか?ムラ社会での知り合いならともかく、そのムラ社会なんてものはなくなってしまっているのだし。
プロの白タクドライバーの登場
それに白タク解禁でプロの白タクドライバーが現れる。プロのUberドライバーが現れるのだ。それはそれで在宅ワークなんてことで雇用の受け皿になるかもしれない。ただ、プロになれば客のしゃぶり(客の選択)が起きる。近距離客の出そうな時間帯場所は避けるようになる。交通弱者と言われる人たちはさらに弱者になる。タクシー車両は少なくなり、白タクは避けるようになるのだから、いよいよ移動困窮者となるに決まっている。
週末夜の繁華街もそうだ。今でもさえも供給不足なのに酔客を乗せたくない白タクドライバーがその場所、時間帯を避けるようになるのだから、神待ちの列が朝まで続くようになる。自家用車にゲロを吐かれて平気ですか?その掃除を無料でできますか?ゲロだけではなくてウンチまでされても平気でできる?
利己的で合理的な人たち
今現在移動に困っている人たちがさらに困るという状況が生じる。必ず。そうしてプロになった白タクドライバーは、さらに儲けようとする。それも簡単に儲けようとする。安全や安心に対するコストなんてものが削られる。そのうちプロの白タク集団なんてものも出来る。いわゆる反社会的勢力の収入減になる。必ずだ。
それに変態のストーカーツールとして使われる。変態があなたの帰りを待ってスマホの画面であなたのリクエストを待つ。簡単だ。一番近くにいる車が配車されるのだから。そうしてあなたの家は確実に変態の知るところになる。「あ、またお会いしましたね」なんて偶然が頻発する。
そう、安全っていうのは、なにも交通事故を起こさないとか、それによる保証はどうする、なんてことばかりではなくて、そういった情報を守るということも含まれるのだ。それをどう担保するのですか?
オレオレ詐欺どころか白タク詐欺なんてものが簡単に発生する。必ずだ。交通弱者はいいカモになる。反社会勢力の資金源になり、変態の犯罪場所となり、詐欺師の情報源と受け渡し場所になる。必ずだ。
すべての規制がなくなると、これまで世界一だといわれているこの国の移動に関する安全性もなくなるということなのだ。白タクとライドシェアにはこれらの危険が潜んでいる。
白タク合法化反対
小林よしのりさんも「白タク合法化に反対する」ということを書いている。ボクたちのよしりん先生登場だ。
外国人観光客が増えるからと、政府は白タクを合法化するつもりらしい。ぞっとするよ。
またカネに目がくらんだ「おもて媚び」だ。わしはちゃんとしたタクシー会社の勤め人じゃなければ怖い。
成田で白タクの運転手が「○○円でいいですよ」なんて言って、近寄ってきてたことがあった。
まるで海外みたいだなと思い、拒否したが、もし乗ったら、降りるときにボラれる危険もあるし、何が起こるかが分からん。
暴力団がやってるのかもしれんじゃないか。・・・・・・
観光バス会社だって、つい最近、事故を起こして多くの若者を死なせたりしてるのに、今度はなんで白タク合法化なんだ?
白タクなんか絶対乗らんぞ!
「規制緩和」反対!
そう、白タクなんて怖くて乗れないでしょ。アメリカはね、銃社会なのだよ。だから乗客が後部座席で銃をもって白タク運転手を操縦している、って図なんだよ。じゃあ日本でも銃解禁だ。銃刀法なんてものも規制緩和だ。ついでにマリファナも、買春も、なんでもかんでも解禁だ。出来るのか?
起きてからだと遅い。ボクたちはすでに学んだのではないのか。安全なんてものは二重三重に担保をとったほうが良いということも。便利さやコストだけを考えて、ボクたちは多くのものを失くしてしまったんじゃないのですか?
少し熱くなったけれど・・・。さてと、床屋に行くか。
じゃあ、床屋も解禁しろよ。で、UberじゃなくてBarberでどうでしょう。
って、そのままか。
とにかく、オレたちタクシードライバーをなめんなよ、なのだ。
そしてタクシードライバーもなめられんなよ、なのだ。
白タクとライドシェア、まだまだつづく。
Uberが普及しないたったひとつの理由〜タクシー規制について(1)〜
タクシー、スマホアプリ配車〜タクシー規制について(2)〜
共有地の悲劇〜タクシー規制について(2)〜
安全と安心、Googleタクシーについて考えたこと
愛のりくん、ダメポ
桜にメジロ?春だよね?