ダイナミックプライシングについて

ダイナミックプライシングについては、まず、河野規制改革担当相が今年1月15日の記者会見で、タクシー料金の規制緩和に取り組む考えを表明した。つづいて、国土交通省が2月22日、「需要に応じたタクシー運賃の変動制を認める方向で検討する」ことを表明した。

この応需変動運賃は、2016年10月に全国ハイヤー・タクシー協会連合会が「革新的サービスの実現」として「タクシー業界において今後新たに取り組む事項」11項目の4番目「ダイナミックプライシング」としてすでに揚げていたものだ。

タクシー業界において今後新たに取り組む11項目とダイナミックプライシングの登場

その11項目とは

1.初乗り距離短縮運賃
2.相乗り運賃(タクシーシェア)
3.事前確定運賃
4.ダイナミックプライシング
5.定期運賃(乗り放題)タクシー
6.相互レイティング
7.ユニバーサルデザインタクシー(UD)タクシー
8.タクシー全面広告
9.第2種免許緩和
10.訪日外国人等の富裕層の需要に対応するためのサービス
11.乗合タクシー(交通不便地域対策・高齢者対応・観光型等)

タクシー業界において今後新たに取り組む事項について

すでに開始されているものもあり、最近では、昨年11月に、タクシーによる一括定額運賃(定期回数券)、変動迎車料金が認められた。

タクシーの新しい運賃、料金制度がはじまりました |タクシーと移動

今回のダイナミックプライシングについては、現場から反対の声はあるにしても、2016年以前からの「新しいタクシーのあり方検討会」で話し合われてきた経緯もあり、会社側組合側からの反対意見は少ないのではないかと想像している。

また、すぐにできることでもなく、現行のメーターやシステムでは難しいこともあり、事前確定運賃などと絡めて、ソフトメーターを導入して、など、少し時間はかかるのだろうと、それゆえ毎度のことなんだけれど、のんびり構えている、ので静かなのかもしれない。まあ、認められれば、どこかがやるのだろうし。(事前確定運賃も、申請したところ少ないんではないのですか?)

ダイナミックプライシング・変動運賃の問題点

さて、そこでなにが問題なのか…。

タクシー業界は、コロナ前においても利用者の減少が懸案事項で、コロナ後にやってくるさらなる利用者減による営業収入の減少をどのように食い止めるかが課題になっていた。そのたえに潜在需要の顕在化や生産性の向上が言われている。

繁忙時の問題

タクシーの需給問題として、繁忙時の需要や、特需に対応できないということがある。

雨や雪の日、終電の時間、年末、イベントがある日…。例えば、コンビニのおにぎりを例にすると、需要が見込まれる日には通常の2倍、3倍の発注をする。ところがタクシーは分かっていても、その日だけ、特定の時間帯にだけ、2倍も3倍も稼働台数を増やすことができない。そもそも、2倍も3倍も供給できない。

そして暇な日、暇な時間帯には、ご存じの通り、駅の待機場所には、繁華街には、タクシーの行列ができる。流しがない地域ではなおさら、タクシープール、乗り場からタクシーが溢れている。

現場のタクシードライバーもこの非効率な営業方法に疑問を抱くことも多い。としても、法人事業者に所属している以上、シフトやダイヤに組み込まれていては、効率の良い時間ばかり稼働させることができない。また事業者も閑散時は営業を中止するような細切れの時間での雇用はできない。それが最低賃金問題の原因にもなっている。

閑散時の問題

この閑散時をどうするかが、もうこの十年来の業界の課題だったように思う。どうするか?潜在需要の顕在化、需要喚起、あるいは、貨物輸送やフードデリバリ―という副業をする、ということに行き着いた、というのも、それほど業界は危機感を持っている、ということなんだろう。特に地方は、人だけを輸送していては生き残れない時代になっているのだ。だから、廃業する中小零細事業者が出てきている。(事業廃止には別の原因があるとしても)

公共性の毀損

公共ということを考えると、繁忙時に値段が上がるということは疑問の余地を残すにしても、顧客が増えれば営業収入が増えるのだから、事業者だけではなくて乗務員単位の顧客を増やすことへのインセンティブになる。

だって、忙しくなる=増収、なのだから、ひとりひとりが利用者を増やせばいいのだから。

タクシー利用者を増やすことこそ私たちの利益、という簡単な図式が見えるのではないのか、そう考えると、そんなに悪いことでもないし、もうね、いろいろな手を打たないと、潰れちゃうよ。

それで、乗務員賃金については、別にその応需変動制の影響を受けない、例えばこれまで通りとか、距離制とか、まあ、固定給の年収600万円とか、とにかく、乗務員の賃金については、別の話にしたほうが、分かりやすいと思ったところで、長くなった……。

タクシーの変動運賃について、さらに考えたこと

タクシー運賃、需要に応じ変動制 メーターに代わりGPS測定も(共同通信) – Yahoo!ニュース

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