タクシー業界に足りないもの

タクシー業界に足りないものはなんなんだろう。

そろそろ1年になろうとしているこの災禍。思い起こせば、1年前の今頃…まだマスクもあった。それにアルコールティッシュを100均で買った記憶がある。こんなことになるとは、これほどまでに長引くとは、思ってもいなかったんだ。

休業のある生活

最低賃金にへばり付いている収入が長く続いている。それでも休業がある生活が楽だ、そう考えている人たちも多い。その休業にも雇用調整助成金による手当がつく。収入は低くなっているにしても失業保険よりは高い。最賃という限界値があるから、どれだけ暇でも、乗客がいなくても、1時間927円はもらえる。1日8時間、7416円はもらえる。

7416円もらえるのなら暇のほうが良い。それよりも休業手当のほうが高ければ、休んだほうが良い。長引くにつれ、そう思う人が増えているのも確かだ。すでにモラルハザードは起きている。働きたくない、休業させろ……。

タクシー運転手の自由な働き方

タクシーは働き方が自由で、それが魅力になっている。ひとたび出庫すれば上司もいなければ部下もいない。労働時間も休憩時間も自由がきく。熱がある、寝不足だ、体調不良で休むことも簡単だ。責任も義務もない。とにかく自由だ。だから歩合給にせざるを得ない。

あるのは「足」だけだ。その「足」というノルマを果たさなくても最低賃金7416円はもらえる。

また、違う会社に移動する自由もある。それを簡単に言い行う、それも自由だ。「歩率が悪い」「待遇が悪い」「管理者が悪い」「オレには良い配車が来ない」「2年縛りがなくなった」「紹介料折半って言われて」「とにかくオレのせいではなく会社が悪い」……。そんな理由で、簡単に隣の会社へ移る。「渡り」と言う。

……。

「タクシー業界を良くするには、日本交通を大きくすることが近道だ」と、日本交通の川鍋会長が新卒採用イベントで発言したということが、東京交通新聞に掲載されていた。

タクシー業界に足りないもの

ボクたち、タクシー業界に足りないものは、その視点だ。「自分の働いている職場を大きくすること」が、例え業界を良くすることではなくても、自分たちの職場環境を良くするため、タクシーの新車を買う、洗車機を買う、休憩所に風呂を新設する、もっと身近なことで言えば自分たちの生活を良くする、給料を上げる、手当を上げ、不当な乗務員負担を減らす……。

そのために、会社は大きくならなければならないし、利益をださなければならない。そもそも、企業が目指すものは「利益」なのだ。赤字が続けば倒産する。

それを考えることが出来ないでいる人が多いように感じる。なぜなのかは解からない。そんなに魅力がなく、そんなに嫌々働いているのならば、辞めたほうが良い。

自分の仕事に誇りもなく、愛もない人もいる。他罰的な理由で自分を正当化し、利己的なことばかり主張する、そんな人の多いのもタクシー業界で「日本交通を大きくすること」が「タクシー業界を良くすること」すなわちボクたちの地位向上に繋がるということ、そこがボクたちに足りないところで、ボクたちが目指さなければならないところなんだろうと思う。

東京交通新聞 全国ハイヤー・タクシー連合会川鍋会長の記事 「新卒採用にユーチューブを」

東京交通新聞 川鍋会長の記事
株式会社東京交通新聞社

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稼働台数削減、タクシー業界が今やるべき、たった2つのこと

6件のコメント

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    おはようございます。
    昨夜の地震は大丈夫でしたか。
    「これ以上、悪いこと、悲しいことが起きませんように、と祈るしかない」と、柳美里さんがツイートしていたように、良いことはなくてもいいから、せめて普通に暮らしていたい、と思っています。

    「セコく生きられない個体はエラー」ということでもなく、その生存戦略としてなにかを獲得したのだろうと、考えています。

    確かに、正しいものはないし、分からないようでもありますが、最近は「悪しきものは去る」のかもしれないと。

    えっと、「その程度」で、結局、ぼんやり生きていたんだけれど、やっぱり傷つけたり、傷つけられたり、そこが問題なんだろうと、思ったりしています。

    なにはともあれ、痛風さんの便りに、痛風さんがお元気でいることと、昔のことを思い出したり、懐かしく、うまく言えませんが、確かに正しいことなんて分からないのなら、やっぱり傷つけない、傷つかない世界にいたほうが良いのかなあ、なんて考えています。

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    私は元気ですよ。
    期間工を終えてから化学の学校に行ったりしましたが、結局原子力業界に戻りました。
    3.11の地震は福島第1原発の中で喰らいました。揺れている時は全く視界のない闇の中で死を覚悟したものでした。
    その時点では業界の底辺にいたのですが、ひょんなことから上流に潜り込む事になりました。
    平たく言うと、電力会社の平社員に平身低頭だったのが、電力会社の社長と名刺交換して世間話をする身分になったということです。
    私が変わった訳ではない。システムの中で位置が変わっただけなんです。
    滑稽な話です。
    で、何か変わったか?
    何も変わりません。期間工だろうが中央省庁だろうが、上位のレイヤーでも同じことをしています。
    映画のゴッドファーザーでアルパチーノが上にいけばいくほど汚いと言ってたけど、その通りでした。
    せっかく勉強して頭を鍛えて、何でそうなるかな?というセコさと理不尽で埋め尽くされてました。

    人間の業なんですかね。頭や育ちの良し悪しではない。
    皆等しくセコいんです。
    セコいことが人類という群体の生存戦略として正しいのなら、セコく生きられない個体はエラーということになります。
    私は?
    一周まわってお腹一杯。
    業界の下流も上流も経験した珍しい存在ではある。しかし、
    アイデアを盗用され、軌道に乗せた案件を横取りされ、失注した案件の名義を私にされ、存分に理不尽を味わった。

    もはや何が正しいのか、全く分からん。
    いや、正しいことなんてないのだろう。
    何も考えたくない。言いたくない。言われたくない。
    自分がナニモノかも知りたくない。

    それでも元気に食って糞して寝てる。
    人間なんてその程度のものだと思うこの頃です。
    所詮、脳ミソがちょっとだけ発達した動物です。
    余計な事を考えず、本能のままに生きるのがあるべき姿なんでしょう。
    文明なんて虚構ですよ。

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    やすおさんも、お久しぶりです。
    家族とは連絡はとっています。母と姉だけですが。

    四国懐かしいです。思いつめていた頃です。やすおさんにも心配をおかけして。今も同じところに住んでいて、あまり変わらないし生活をしていますが、12年の月日が過ぎて、終点が見えてきて少し楽になったように思っています。

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    私は、四国遍路の頃のブログの頃が思い出深いです。四国遍路を完歩した事、非常に感動した記憶かあります。
    家族(母)には、今会えていますか??

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    こちらこそご無沙汰しております。
    十年、一昔なのですが、よく思い出します。私には、いまよりは先の見えない時期でしたから……。

    2009年、今の仕事に就く前でしたか。今、過去のコメントを見ていました。

    あの頃、痛風さんや皆さんがボクの支えになていたのも確かです。なんだか、そんなことも忘れてしまっていたことに、泣けてしまいます。

    9月、「大忙し」というタイトルの最後の一行が胸を締め付けています。それほど、お話ししたわけではないのですが、あの頃、なにか同じ空気の中にいた、そんな人たちのことを思い出しています。

    痛風さんは、お元気ですか?

    十年は、一昔なんですが…。また、どこかで声をかけてください。ありがとうございました。

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    ご無沙汰してます。
    痛風です。覚えていらっしゃいますか?

    記事とは関係ありませんが、貴ブログに10年ほど前によくコメントしていた「○のヒカリ」さんがついに亡くなってしまわれたようです。
    ブログでガンが肝臓に転移してもう治療法がない旨書かれていて、その後更新がありません。

    人は生まれた以上は必ず死ぬとは解っていても、やはり淋しいです。

    失礼しました。

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