「トヨタの世界」について

中日新聞の「トヨタの世界」第4部が始まりましたね。「工場に吹く風」とタイトルがついています。

トヨタの世界 – 第4部 工場に吹く風(1)<若い期間工>(現在ページが削除されています)

製造現場の環境が変わった理由

この記事の最後の部分

団塊世代の大量離職や雇用形態の多様化、若年層の労働観の違いなど製造現場を取り巻く環境は大きく様変わりしている。トヨタのモノづくり現場を通じ、日本の製造業が抱える課題や将来を探る

ですが、これはどうも違うように思うのです。「製造現場を取り巻く環境は大きく様変わりしている」のはなにも「団塊世代の大量離職や雇用形態の多様化、若年層の労働観の違いなど」というのが主要因ではありません。つまり、コスト削減のために非正規雇用を増やした結果なのです。

ただ、団塊世代の大量離職がそれほど現在のライン作業に影響があるとは思えません。おそらく「職人が居なくなった」と言いたいのでしょう。しかし「二週間で仕事を覚えてくれ」と言われるのがトヨタの現場です。そこに、どれほど専門性が重要なのかは疑問です。それに、専門性を捨てることから現在のトヨタシステムが生まれたのです。それはなにも近年になって突如として「様変わり」したのではありません。もうすでに20年前、バブル経済当時の人手不足による期間従業員の大量雇用期に「大きく様変わり」したのではないでしょうか。

若年層の労働観とトヨタの世界

また、「若年層の労働観の違い」というのは、まさか一昔前は「良い車を造って社会貢献したい」という職業観を持った人ばかりが、製造業に就いていたと言いたい訳ではないでしょうね?

前にも書いたことがあるのですが、働くということが一昔前の方がもっと単純でした。それは「頑張って車買うぞ」とか「庭付きの家を建てるぞ」といった金に繋がるものでした。

現在の若者がトヨタを希望する理由も、まさに「金」や、それに連なる「安定した暮らし」の希求というのが職業観になっているようにも思いますから、あまり違いはないように思います。

「製造現場の大きな様変わり」はやはり非正規雇用の増加なのだと思います。ま、そのことを言うために「若い期間工」というタイトルなのでしょうが…。

「車づくりに働きがいを重ねることが少ない若者たち。元町工場の組立ラインで期間工ら34人をまとめる相場利夫(38)は真顔で言う。」

そんなあ、車づくりに働きがいを重ねている若者は、今になって少なくなったのではなくて、特に期間工においては半年という期間稼ぐという目的、それは今も昔もそれほど変わっていなくて、むしろ3年間という長期雇用が可能になった現在のほうが、「車づくりに働きがいを重ねている」若者が多いように感じます。

「彼らがいないと仕事が回っていかない。だからこそ胸の内を知りたいし、知ろうと努めているんだ」

非正規雇用を増やした企業の経営観

ま、こういった若者、この記事にある雇用形態の多様化、若年層の労働観の違いというのも、非正規雇用を増やし続けた企業に責任の一端はあるだろうし、今もなお増やそうとしている企業があるということが問題であって、ボクにしてみれば知りたいのはむしろ、そういった企業のあり方だし、正社員を増やす努力を惜しんでいる企業の胸のうちを知りたいんですよ。

そういう質問こそが若者をシラケさせるということもあるんだよね。

てか話がばらけたので、もう寝ます。


田原市 日米堂の鬼まんじゅう

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4件のコメント

  • >父さんへ
    そうですね。何のために働くのか、ということが分からないという人も多いのも確かですし、取りあえず食べることが出来るから良いや、とう人も多いですよね。ま、期間従業員に来る人たちは、お金という目的があるので、遅刻や欠勤も一般の会社よりは少ないと思うのですが?
    「胸のうちを知りたい」って言うけれど、期間工に来る目的は「金」か「トヨタの社員になりたい」ということだと思うんですよ。ま、その中で仕事ということをキチンと出来るかどうかだけのことだと…。
    >元期間従業員
    ありがとうございます。
    えっと、年齢は秘密にしているんです。ま、秘密にするほどのことでもないのですが、そのほうがいろいろ想像できるかなあ、なんて思っているもんで。
    >しーままっちさんへ
    えっと、ボクも社員の福利厚生がどうなっているのか分かりませんが、ま、大企業ですから、それなりに良いと思いますよ。給料も良いようですしね。
    車を買う、家を買うなんてのもかなり優遇されているようですしね。そういったことを含めると、やはり手厚いと思います。
    仕事に関しては、工場の現場は確かに厳しいと思いますが、ま、それも本当にキツイところは期間工がしている、ということも多くあると思いますよ。
    給料の三分の一は厳しいですね。そういう事情が少子化の要因のひとつでしょうね。
    またコメントして下さい。

  • はじめまして。中日新聞の記事を読んでネットで「期間従業員」を検索していたら、こちらにたどり着きました。
    私は1歳の娘を保育園に預けて正社員で働いているのですが、託児所のあるトヨタの工場が楽園の如く見えてしまいます。実際、保育料は◎万円と高額で、給料の三分の一はこれで消えてしまいます。これじゃあ何のために働いているんだか分からん!って感じですね。
    こういう働く母親から見たら、トヨタの福利厚生は手厚くてうらやましいです。もちろん内情はわかったもんじゃないのかもしれませんが。
    それだけ仕事の内容は厳しいぞって事なんでしょうね。

  • 私は衣浦工場で働いていました。
    おもしろい日記ですね!
    何才の方ですか?
    文章が素敵です。

  • おはようございます!
    要は仕事に対する姿勢や考え方・・目的感や危機感がしっかりしていないと何をやっても駄目だと思いますよ!年齢や自分の辿って来た経緯にもよるでしょうが・・・

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