aiオンデマンド交通
aiオンデマンド交通への導入支援が、令和2年度には7事業者に対して行われた。そのことについて考えてみたい。
デマンドタクシーの記事で考察したように、予約や当日2時間前予約の不便さや乗降場所の少なさ、その距離の問題が、豊橋市が運行している「愛のりくん」や、豊川市が実証実験を行った「三上・睦デマンドタクシー」で検証された。そうだとすると、その問題をどう解消するかが使いやすい交通サービスになる、のだろうと思う。
公共交通空白地の問題は、ただ単にその空白部分を埋めるという作業ではない。それはもちろん公共交通に係る人たちの共通認識、なのだろう、と思う。
このコロナ禍で、移動の制限がいかに経済に影響を及ぼすかを、ボクたちは解かった。だとすると、移動こそ経済なのだろう。
そんな中、大阪市が昨年募集しこの3月から実証実験を行う予定のaiオンデマンド交通に対して、大阪タクシー協会が反発しているという報道があった。
aiオンデマンド交通でラスト・ファーストワンマイルを
「ファースト・ラストワンマイル」は、タクシーの得意分野だ。この大阪の試みもファースト・ラストワンマイルへの対応だ。同じ商圏の同じ顧客ということになる。タクシー業界が反発する理由だ。
さらに、公共交通空白地や供給量が少ない地域(交通空白地問題でも「陸の孤島」と表現されたりもする)でやるならならまだしも、都市部のバスもタクシーもある地域で(aiオンデマンドで)効率よく輸送されたら、例えば、一本釣りをやっている海域に、大型船団が魚探やレーダーを駆使し底引き網で根こそぎ捕獲する、そんなイメージがして、「それはあんまりだろう」と思うのも理解できる。
ただ、利用者にとっては、その距離こそ「タクシーを使いにくい距離」なのだ。そして時間帯によっては「タクシーがつかまらない」という不便さを抱え実感していると距離であり地域でもある。タクシードライバーとしても「嫌な距離」だ。いわゆるワンメーターの距離になる。
ボクがこの業界にいなければ、aiオンデマンド交通に、きっと賛成する。ワンメーターによるタクハラ1を気にしなくていい。それに便利だしね。
生きがいと移動
「利用者のファースト・ラストワンマイルをカバーし、あらゆる交通(鉄道・路線バス・タクシー等)が、シームレスにつながる移動価値を提供するためには、利用者を迎えに行くということに近いaiオンデマンド交通が必要」という運行目的は理解できる、共感もできる。
ワンマイル、2キロ程度歩かなければバス停がなく公共交通機関が利用できない。そしてタクシーがすぐに利用できない地域が圧倒的に多い。そして豊川市や豊橋市だけの問題ではない。買い物に病院に学校に行くことに不自由さを感じている地域のほうが多い。
その問題を解決するために、京都府設楽郡南山城村での過疎地型MaaSとしてのaiオンデマンド交通が行われている。そして京丹後市の「支えあい交通」「EV乗合タクシー」が行われている。
「地域の移動総量」の増加が「域内の経済活性化」と住民の生きがいの増進につながる。それを、ボクたち現場が考える時期である。今後地方のタクシー業界が生き残るためには、ここになんらかの関わり合いを持たないと、地域からも経済からも見捨てられる。そしてボクたち業界が移動困窮者になる、そう思う……。
大阪市:AIオンデマンド交通の社会実験に関する民間事業提案の公表及び事業者意見照会について (…>交通>お知らせ)
こんにちは。
そうですね。6キロの距離を自転車で通学していたり、バス鉄道がないなんて地域に比べれば夢のような話なんですが。
こういったインフラ格差の問題も…。
労働力不足、高齢化と言いながら、と思うところもありますが、そのSDGsには共存の道を探し当てないと、と思っています。
ご無沙汰しております。
現在大阪在住ですが、このあたりは大阪市外縁部の住宅地で、右側に見える布施や高井田は隣の市の東大阪です。
バス停も多ければ本数も多い地域で、更に上乗せでファースト・ラストワンマイルはすごいです。都市部は至れり尽くせりですね。
タクシー業界の懸念は非常によく分かります。この地域のタクシー会社は苦しくなるでしょうし、それでいて義務だけ押し付けるような。
SDGsが叫ばれる世の中で、果たして社会全体で継続可能なものか甚だ疑問ですね。