豊田市内、とある酒場にてトヨタ自動車の社員たちが飲んでいた。
この場合の社員というのは現場、要するに工場勤務の人たち、週末金曜日、おまけに給料日の昨夜はトヨタの街ではよくある風景。というか、そんな週末、トヨタの街では飲食店の顧客の５割がトヨタの人たちなのかもしれない。そして８割はトヨタ関連の人たちだと感じられる。聞こえてくるのはそれらしき単語。GLとかラインとか…。
その現場社員が飲んでいる店に疲れた表情の集団が入ってきた。
そして席に着くなりため息まじりに一言「またリコールかよ」…。
疲れた表情の集団もトヨタの人たち。と言っても先ほどから盛り上がっている５割、８割の現場の人たちではなくて、売る側、いわゆるディーラーの社員の人たちだ。そしてまたため息まじりに一言「まったく…」。
そのディーラー社員たちはカウンターに座っていた。もうどこの店も現場社員で一杯で、やっと見つけた空席だった。そういった不満や苛立ちも加わってか、すこし荒れ気味だった。そんな気持ちの時、普通人は寡黙になる。言葉が不満を募らせることを知っているし、溜まり溜まった不満が飽和状態になったとき、同じ集団にそれは向かってその不満は流出するということを、経験上、あるいは本能的に知っているからだ。スケープゴートの必要性はそこにある。
黙っているトヨタ社員たち。寡黙な集団の周りには、もうすでに出来上がっているこれまた同じトヨタ社員たちの歓声や嬌声が聞こえる。それはまるで台風の時の天気図のような図式だった。その台風の目のところだけ圧力が違っていた。加圧された沈黙。
ディーラー社員のひとりがつぶやいた。
「こいつらデタラメだな。状況が分かってないんだな」
そしてもうひとりが追随する。
「まったく能天気というか、バカというか」
さらに３人目も加わる。
「だって現場だもん」
加圧されたカプセルの殻が破れる瞬間だった。
ディーラー社員が背後のどんちゃん騒ぎに聞こえるように言った。
「トヨタも終わりだな」
瞬間、店全体が静まり返った。どこからその声が聞こえてきたのか多くの人たちは分かっていたのだけれど、それを問質す人も出なかった。沈黙はそれほど続かなかった。長くは感じたけれど、たぶん、２０秒とか３０秒という時間だったのかもしれない。
聞こえなかったことにしたのか、実際に聞こえなかったのか、騒ぎは再開された。再開されたのだけれど、少し前よりは静かになっているように思えた。
ディーラー社員のひとりがつぶやいた。
「ま、しかたないか」
「そうだなあ」
テレビでは中日と巨人のセ・リーグ、クライマックスシリーズ・ファイナルステージをやっていた。ディーラー社員たちは野球の話題に切り替えた。バッターボックスの後ろには「魅せろよ　プリウス」という広告看板が写っていた。脇谷のタイムリーよりはその看板のほうが社員たちは気になった。
一時間後、ディーラー社員たちは勘定をすませて店を後にした。
明日も仕事だったし、次の休日もないということはすでに想像できていた。当分忙しい日々が続くこと、それもリコール処理というもっとも嫌な業務のために費やされることが分かっていた。
店では同じトヨタ社員が相変わらず騒いでいた。
トヨタ自動車：自動車事業：リコール等情報

【自動車】トヨタが「クラウン」や「レクサス」 などリコール、燃料装置など不具合［10/10/21］
3 ：名刺は切らしておりまして：2010/10/21(木) 15:11:27 ID:aeYBlj9Z
大杉
トップページに掲示すべき内容だと思う
参考に松下→http://www.panasonic.co.jp
早速、父親がＬＳ乗ってる友人に連絡しておこう
何十年もトヨタ乗って来た人だけど、前回の騒動で乗り換えると
言ってたから、これでとどめだろうな