白バス

シラバスではない。
白バスとは、白ナンバーのバスのこと。白タクとは、白ナンバーのタクシーのこと…。
なのだけれど、白ナンバーの車で観光や営業を行うと道路運送法違反になる。「運賃をもらっちゃダメだろ」ということは知っていても、観光地案内をすることが法律違反になるということは知らない人もいると思う。

白ナンバーのバスが次の行為を行うことは法律で禁止されています。
1.運賃をとって、お客様を送迎する行為
2.運賃をとらなくても観光地案内等をかねたような輸送
3.レンタバスを借りる場合、運転手つきで借りること
白バスの説明

豊川市のいなりタクシーがその「白バス」営業の疑いで書類送検されたらしい。白バス営業に使ったマイクロバスは運行許可を国に申請中だったそうだ。運行許可さえ取得していれば正々堂々と青バス営業が出来たのだけれど、待てなかったらしい。

社長は取材に対して「取引先に頼まれるなどし、運転手の人件費と燃料代程度を支払ってもらって運行していた。その程度ならいいだろうと安易に考えた」と話した。(8月14日付中日新聞より)

気持ちは分からないでもない。おまけに申請中の新規事業だ。断ると同じ豊川市で営業している豊川タクシーや豊鉄タクシーに顧客を奪われるかもしれない。許可が下りるまでは「その程度」の運賃で運行して繋ぎ留めておきたいと思ったに違いない。いや、許可が下りるまでは「無料」でも、あるいはこちらからお金を払ってでも関係を保ちたかったに違いない。顧客心と秋の空…。
人件費と燃料代だけで、そんなハイリスクなことをしなければならないほどタクシー業界を取り巻く環境は悪化しているのだろう。タクシー運賃収入は過去20年で最低だそうだ。豊川市への観光客も激減しているに違いない。中国人観光客が増えたとしても、タクシーを使うことはない。「いなりん」が「ひこにゃん」ほどの人気者になる気配もない。景気も回復しそうにない。エコカー減税はやってもタクシー減税はやってくれない。代行運転なんてのも増えている。飲食店の送迎サービスも多くなった。規制緩和でタクシーも増えすぎた。
マイクロバスの次は介護タクシーだったのかもしれない。痛車タクシーも考えていたかもしれない。「コンちゃんタクシー」や「いなりんタクシー」なんてのも考えていたかもしれない。
法律違反なんだけれど、悪質なものでもないし、気持ちも分かるし…。それでも、こういう事件があるといっそうタクシー離れが進んで、結局運転手が一番の被害者になるのかなあ、なんて考えている。
いなりタクシー株式会社
中日新聞

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