車の声

梅雨が明けるといきなりの夏。テレビではどれだけ気温が上がったか、熱中症対策、そして亡くなられた方のニュースが流れている。名古屋の気温は37度まで上がるとか。暑い。車の中でエアコンを入れているとしても暑い。とは言っても外で働いている人のことを思うと労働環境は良いほうなのだろう。外回りの営業の方や郵便局のバイク便の方、建築建設関係の方、警備の方、農林水産業の方たち…。
こうも暑いとイライラしてくる人も多いのだろう。気候による精神状態の変動は、寒いときよりも暑い時のほうが大きいのだろうと思う。それでだろうか、クラクションが聞こえてくる回数が増えたように感じる。
クラクションは運転手の声を代弁するものだ。だから喜怒哀楽を「ブブー」とか「プップー」中には「パーーン」なんて音もあるのだけれど、その音で現す。
例えば道を譲ってもらったときには「ありがとう」だろうし、返信に「どういたしまして」だろうし。恋人を迎えに来たときには「こんにちは」だろうし、別れ際には「またね」だろうし。またちょっと無理したなと思ったら「どうもすみません」だろうし…。喜怒哀楽を表現するというよりも挨拶という感じの「プップー」なのだ。
でも、ほとんどの場合は怒りで使われる。「なにやってんだよ~ゴラー」とか「早くしろよ、コンチクショー」とか「危ねえ~んだよ、ボケ」なんて時に使われる。
たぶん、実生活では口に出せない表現を代弁させていることのほうが多いのかもしれな。人混みで肩がぶつかっても「なにやってんだよ」なんて言う人は相撲関係者、もとい反社会勢力組織員の方ぐらいなもんで(たぶん)、一般の人はなかなか言わないと思う。キッと睨みつけたとしても…。
ところが車の中にいると、そしてクラクションという代弁者がいると、深窓の令嬢も良家の嫁も、紳士淑女ほとんどの人が、ちょっと下品な言葉使いになってしまう。そして時にはそのクラクションが原因で刃傷沙汰にまで至って命を落としてしまうこともある。普段は聞きなれない言葉、聞きなれない感情の表現を聞くからだ。
みんなイライラしている。そしてそのイライラに火を点けるようにクラクションを鳴らすものだから、炎になるのだ。「なんだこのやろ~」と売られた喧嘩を買ってしまう。
思うのだけれど、車の声なのだから「ブッブー」なんてちょっとイラっとした音ではなくて、「ニャ~」(猫ひろし風に)とか「モ~」「パフパフ」なんて音にすればきっとそんな事件も起きないと思う。「パーーン」なんて音に変えているのは、背中に龍の刺青を入れているようなもんだろうし。それが例えばドラえもんの刺青が背中にあったらちょっと「クスクス」なんて笑ってしまうだろうしね。
よっぽどのことがない限り、あるいは法令で定められた所以外では「怒り」のためにクラクションを鳴らさないほうが良いと思う。というか無闇に使用するのは法令で禁止されているし処罰されるのだから。たぶん、そのことを知らない人も多いのかもしれない。ということは声というよりも無知ということを表現しているようなものなのだ。
信号は長いは前の車はノロノロだは、この暑さだしクラクションを暑気除けに鳴らしたい気持ちは分かるのだけれど…。

道路交通法第54条(警音器の使用等)第2項で規定されている通り、警笛区間や危険な場合以外には使用してはならない。これに違反した場合の罰則が同法第121条第1項第6号で規定されており、2万円以下の罰金又は科料に処するとされている。
警笛 – Wikipedia

色あせたアジサイ
梅雨が終わったらアジサイも色を失くしてしまいました。やっぱり早めに切り戻すべきか…

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