まあ、確かに“生産の調整弁”だったことは「表から読み取」らなくても、分かっていたことだし、ずいぶんと言われてきた。それは季節工なんて呼ばれていた頃からそうだったのだ。

期間従業員という働き方を考える　その１ トヨタで生きる
トヨタにとって期間従業員とは、自由に採用し、自由に雇い止めできる“生産の調整弁”だったことが表から読み取れます。

その季節工なんて言われていた頃は、企業にとっては“生産の調整弁”、労働者にとっては“生活の調整弁”となっていて相互利益（一時期流行ったwinwinなんて考え方）のもと雇用が行われていたし、国の雇用対策もいまよりは手厚い（労働者を向いた）ものだった。
今のように３年もの長期間「期間」従業員で雇用出来るという法律ではなくて、農漁業の閑散期や冬の季節の間４か月～６か月の雇用ということを前提に考えられた最長１年というものだったのだし、それに伴って雇用保険も６か月加入で失業給付が受給できるシステムだった。
だからトヨタの期間従業員の最短雇用期間が４か月なのだ。４か月や６か月の根拠は季節工であり失業給付を受給できる期間ということなのだ。調整弁でありながら、労働者の利便を考慮していた、だから“生活の調整弁”になりえたのだ。
このブログでも何度も書いたのだけれど、「若者の貴重な３年間」を奪うことが問題なのだ。それは国家的にみればかなりの損失であり、国家に対しての搾取なのだ。
貴重な３年間をただ黙々とボルトを締め続けること、それは廃人を作り出す作業なのだ。自動車絶望工場なんて表現した人がいたけれど、廃人製造工場なのだ。かなりの割合でリピートする。その３年間を繰り返す人もいる。そして社員になることを夢見て、いやなれると騙されて、３年を繰り返す若者もいる。
収入だけではなく正規と非正規の差別もある。その差別が格差をさらに拡大させる。正社員には人間としての将来を、期間従業員には廃人としての人生を、製造しているのも自動車工場なのだ。その差別がこの国の多くの若者から労働意欲を喪失させたし、努力の信憑性を奪った。そして自らの命を絶つ人も増えた。
「期間」従業員は悪いことではない。需要もあるだろう。しかし３年間もボルトを締め付けることを、慰労金で身動きできないようにし、あるいは正社員登用もありますよ、なんて餌をぶらさげてやらせる、その手口が汚いのだ。
本当に期間従業員の将来、日本の未来を考えているのならば、もっと違うやり方があるのだ。
これから期間従業員として働く人たちは、自身の人生の調整弁として期間従業員としての働き方を利用しないと、いつまでたっても前へは進まない。「赤紙来たからまた行こうかなあ」なんてライン中毒から抜け出せないで、結局雇用の調整弁として利用されるだけ利用されてポイ捨てされる。
自動車工場に依存するから派遣村なんてものに行かなくてはならなくなる。きちんと割り切らないとダメだ。正社員登用もある、なんてことは考えないことだ。まじめにやっても使い捨てされるのだから、いい加減にやっとけ。年休は全部消費しろ。身体を痛めたら診療室なんて同じ穴のムジナのところに行かないで、病院に行け。そして労災認定なんてことを考えろ。ミスしたら笑ってごまかせ。そして「だって期間工だもの」と言え。残業したくなかったら断れ。何か文句言われたら「ぞうど使い捨てて下さい」と開き直れ。車の持ち込みがダメなら「やっぱり奴隷ですか？」と質問しろ。
次もあるから、なんてことは努々考えるな。「GLが良い人だから」なんてことも考えるな。良い人になるということが期間従業員の操縦法だというマニュアルがあるだけなのだ。歓迎会や送別会ぐらいでありがたく思うな。ちゃんと経費で落とされるのだから。困ったらATUでも共産党でも相談しろ。CLもGLも社員も組合も、たぶん、誰も助けてくれないのだから。
とにかく闘え。それが正しい期間従業員としての働き方なのだ。