また梅の花が咲いた。また春が来た。
風邪がまだ喉の奥のほうに居座っている。
暖かかったので、それだけの理由ではないのだけれど、向山梅園に行った。
満開の花が好きではない。晴れた日より雨の日、広い部屋より押入れの中、海よりも森、昼よりは夜、賑やかな場所より静かなところ、都会より田舎…。明るい人よりも暗い人、笑顔より泣き顔、ふたりよりひとり…。
また春が来た。
うれしいというよりも、「また」というなにか諦めのような気持ちで塞がれる。春よりも冬、桜よりも梅…。
相変わらず、良いこともない。ただ毎日なんとなく過ぎ去っている。というか、朝が来るのが待ち遠しいなんて気分にはなれない。みんな何を楽しみに生きているのだろうか。
また梅が咲き、また春が来て、またひとつ歳をとり、また心の奥のほうに思い出というかび臭い澱が溜まってゆく。
向山梅園の梅
「駒ヶ根をまへにいつもひとりでしたね ~山頭火~」
また悲しい春がきた。

2件のコメント

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    梅の花いいですね。 
    勉強は中の上、部活では補欠(試合にはほぼ出られない補欠)だった私には桜の花は眩し過ぎる。

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    私の実家の近くにも梅林があります。見事な梅林ですが、今年はまだ見に行っていません。ピンク色のとても鮮やかな花びらが今年も山肌を覆っているはずです。
    近日、親と見てこようと思います。結願の帰りに立ち寄るつもりです。

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