タクシーの品質(チームエクセレントについて考えたこと)2

タクシーの品質(チームエクセレントについて考えたこと)1タクシーの品質について考えてみた。 これまで「雲助」なんてタクシー運転手の職業的差別について、タクシー運転手側から何度か書いてきたのだけれど、それほどクオリティが低いという…
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タクシーの品質(チームエクセレントについて考えたこと)1

前回に続きタクシーの品質をもう一度考えてみる。値段が同じなら高品質な物が売れる、というのが全ての業態においての常識である。消費行動というのはコストパフォーマンスを追求する傾向にある。ところがタクシーの場合、低品質の運転手ほど値段が高くなる場合が多い。

良い運転手の基準を次の3点で求めるとして、これらが高いから売り上げも高い、というわけではない。

  1. 地理の知識
  2. 接客技術
  3. 運転技術

タクシーの品質とは

道を知らないもんだから遠回りする。地理に不案内なものだからスムースに走れない。渋滞に巻き込まれる。あるいは意図的にワンメーター分走る。そんなことから利用者は余分に運賃を支払うようになる。その分運転手の売上が上がるということだ。それにマナー違反なんてことを平気でやって利用者を獲得する、なんてこともある。

困ったことに運転手の質を外見だけで判断するのは難しい。さらにタクシー会社は選べたとしても運転手までは指定できない。駅などの待機場では順番に乗らなくてはならない。運次第、ババ抜きなんてことになる。一部のタチの悪いタクシー運転手のせいで会社の評判まで悪くなる。タクシーの品質どころか会社の品質まで疑われる。

相変わらず雲助なんて貶される。タチの悪い運転手だとしても、人手不足の業界、いないよりいたほうが良い。そんな経営者の利益至上主義や、稼働率なんて問題もあって、「気を付けて下さいよ」なんてことで終わってしまう。車に乗れば自分ひとり、ドライブレコーダーで事故の記録は撮っているとしても、車内での接客は相変わらず密室だ。たまに強盗まがいの事件も起きる。

タクシーの品質どころか運転手の品格の問題を先に解決したい。

チーム・エクセレントの登場

利用者がタクシーを選べないのなら、タクシー会社のほうで運転手を選んでしまえ、という逆転の発想。他社との差別化の前に、社内での他者との差別化。それがつばめグループの「チーム・エクセレント」のようだ。

2年以上無事故無違反、各種研修を受講、社内試験に合格した人がそのチーム・エクセレントに参加資格を得ることが出来る。

通常のタクシーより上のグレードの車両を使い、制服も違うらしい。客は一目で「良い運転手」を見分けられるようになる。逆に言えば、悪い運転手が分かる仕組みになった。そして駅の待機場で「あんたはパス」なんて言われて、ずっと居残りになる運転手だって今後出てくる。チーム居残り…。

道路を走っていると「あ、悪者だ」と子どもたちが指をさされるかもしれない。中には石を投げる人もいるかもしれない。

そうなると差別につながらないのだろうか。実は解雇したいのだけれど、解雇できない運転手の炙り出しみたいなもので、チーム・エクセレントという名のイジメなのではないのだろうか。

チーム・ヒールもいます

あるいは、チーム・ヒール(そんなものはないのだけれど)はイジケテしまって、さらに悪徳運転手として暗躍しないだろうか。「昼間は制服で分かるから」なんて、活動の場(勤務時間)を夜にだけ移して、「どうせエクセレントじゃないんだから、遠回りするもんね」なんてことにはなりはしないのか。平均的なタクシーの品質は落ちてくる。

確かに利用者にはありがたいシステムだ。でもね、これって「悪い運転手もいますよ」って宣言になるんじゃないのだろうか。そういう運転手はいるのだけれど、こうやって社内でも差別してしまうのはどうなんだろう。組合は沈黙したままだったのだろうか。やっぱり今流行りの御用組合なのだろうか?

チームメンバー以外の人は、きっと社会的に白い眼で見られ、チーム・ヒールとして、社内でも社外でも差別され、たまに石を投げられ、そして相変わらず「雲助野郎」なんて貶められ、それでも「他に仕事ないしなあ」なんて、全男性労働者平均賃金の50%ぐらいの収入で、生きるためにハンドルを握らなければならないのかなあ…。

運転手の品格

いや、これがきっかけで、全ての運転手がチーム・エクセレントのメンバーになって…。そうなると今と同じになるんではないのか?全員がチーム・エクセレントになったら、さらにチーム・モアエクセレントなんてのを作るのだろうか…。いや、品質の均質化こそ求められている。

思うのだけれど、そういった高い品質による均一化なんてことが面白い世の中なのかというと、そうでもないと思う。自動車産業がそうだ。高品質均一化によって若者のクルマ離れがおこったように、ロボットドライバーによるロボットサービスが行われることが良いことなのだろうか。

というより、「そんなホテルマンのような運転手なんざいらないから、エクセレントじゃない運転手たのむよ」なんてものの分かったお客様がかなり出てくることを、ボクとしては望むのだ。そしてそれが社会の幅みたいなもので、その幅がなくなったら、面白くもなんともない世の中にきっとなる。

雲助というゆるキャラ

雲助とか運ちゃん、どこか少し愛情がこもっていませんか?それにセフティネットとしてタクシー会社の存在はありがたいし。あまり高品質になって敷居が高くなると、誰も運転手なんてしなくなるからさ。どこかにユルイところがないとね。コミュニケーションや接客が得意ならタクシー運転手にはならないかも。そんなゆるキャラや、ダメキャラもいて、にぎわかなタクシー業界。ってことで良いですか?

ということで、話は矛盾しているようだけれど、こういったチームには運転手として反対なのだ。

つばめタクシー、チーム・エクセレント

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3件のコメント

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    はじめまして。
    東京でも、こういうのありますよ。
    タクシー会社のランク付けもあります。
    でもそういうのって、正直お客としては、あんまりあてにならないです(笑)
    会社や業界団体から見て「いい運転手」と、お客から見て「いい運転手さん」の間に、ずれがあるんだと思います。
    へこんでるとき、いい運転手さんに当たって、元気もらったこともあります。
    大変なお仕事でしょうが、がんばってください。

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    龍さん、こんばんは。
    東海交通の面接ですか?
    今はタクシードライバーなのですか?
    「遠いんですけれど」なんて言いながら大清水あたりなんて人はけっこういますよね。こちらの遠いと、お客様の遠いというのが違ったりしたり…。
    露骨に嫌な顔…それでクレームになったりしますよね。

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    近い行先の客が済まなそうに「近くなんですけどいいですか?」とか言いながらタクシーに乗ると云うのはどう考えてもおかしいと思います。近くだと露骨に嫌な顔をする運転士が今も少なくない証拠ですよ。

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