PLATとは穂の国とよはし芸術劇場の愛称である。「豊橋市が東三河市民のための演劇・舞踊・音楽等の芸術文化の振興と芸術文化を活用した市民の交流と創造活動の活性化を図るため、芸術交流文化施設として」平成25年4月30日に開館する。
プラットフレンズなんて会員制度があり、ボクも募集後すぐに会員になった。東三河市民のための文化施設なのでその恩恵に与るだろうと思うのはそこに住む住人にとっては普通の思考だと思う。いや住民だからこそ、そこを利用する誰よりも優遇されてもいいんじゃないかと思う。設立理由にも「東三河市民のため」とキチンと記されている。
PLATの建設が始まってからその横を通るたびにうれしくなったし、開館がとても待ち遠しかった。だって電車に乗って名古屋や浜松、豊川なんてところまで、落語や歌舞伎の公演に行くことなく、歩いて行くことが出来るようになるのだし、それも低料金で気軽に行けるようになるのだろうから、喜ばないわけはない。
喜ばないわけはないし、理由もある。開館最初の公演が『高座開き「立川志の輔独演会」』だからだ。「もっともチケットが取れない落語家」その志の輔師匠が豊橋にやってるからだ。「もっともチケットが取れない落語家」なのだけれど、PLATという「東三河市民のため」の公演であるのだから、通常の公演よりも「かなりチケットが取りやすい」はずに決まっていると、ボクたちは考えていたし、そう考えるのもおかしな話ではないはずだ。
たぶん、きっと、この高座開きの件は、一昨年のとよはしまちなかスロータウン映画祭のイベントで志の輔師匠が来豊された時に話ができたに違いない。「最初の公園は志の輔師匠で」なんてことに決まっていたに違いない。情け深い志の輔師匠のことだから「ガッテン」なんて即決したに決まっている。映画祭に「歓喜の歌」を上映すること自体、志の輔師匠にとっては歓喜だったに違いないだろうし…。
となると、主催者はなにがなんでも大入り満員にしなければならない。それが至上命令的に彼らの思考を全て狂わせてしまったのだろう。「東三河市民のため」という設立目的までも忘れさせてしまい、PLATの人たちは「自分たちのため」に公演を成功させようとした。そして東三河市民、豊橋市民が優遇されない事態になったのだ。
プラットフレンズの会員であるボクは、会員先行のチケット発売日を待って応募した。待ちに待った日だった。700を超える席があるのだから、そして「東三河市民のため」なのだから、もう獲得したも同然であると高をくくっていた。
3月6日に抽選結果が届いた。それは残念なお知らせだった。そしてボクはその後の一般発売分にもはずれた。
どうしてPLATは東三河市民のための優先席を確保しなかったのだろうか。プラットフレンズになれば誰でも先行予約できるなんて大雑把な予約の方法をとったのだろうか。「東三河市民のため」なんて謳いながら…。
結局、すべては彼らの狂った思考による結果なのだ。チケットぴあに丸投げしてチケットを販売してしまった結果、東三河市民が優遇されることもなく、老人や障がい者、情報弱者が優先されることもなく、東三河市民不在の「東三河市民のための」公演が行われる。
ネットで会員登録できない人や、メールで申し込みできない人、そんな人たちも置き去りにされてしまっては、なにが「演劇・舞踊・音楽等の芸術文化の振興と芸術文化を活用した市民の交流と創造活動の活性化を図る」だ。芸術なんてのは想像力なのだ。想像力もない人たちが、芸術とか文化なんてのを口にする資格があるのだろうか？
まだ言いたいことはあるのだけれど、せめて開館記念公演ぐらいは高座開きぐらいは、豊橋市民を優先的に入れて欲しかったなあ、なんて思うのだ。そうすることが地域密接型「市民の交流と創造活動の活性化を図るため」なのだろうし、納税者への義務なのだ。あんな一等地に箱物を建てて、そしてそれが市民のためになっていないなんてことならば、無駄使いのなにものでもないと思うのだけれど…。

舞台芸術のチカラを人に、まちに。穂の国とよはし芸術劇場プラット