有効求人倍率は17カ月連続で上昇というけれど
安倍総理の通常国会閉会後の記者会見を読んだ。
確かに「この春、多くの企業で給料がアップしました。連合の調査によると、平均で2%を超える賃上げ、過去10年間で最高」なのかもしれないが、その2%ってのは消費増税分に満たない。過去10年で最高というけれど、そんな最高と感じられる高揚した風景はどこへ行ったって見当たらない。
6割の会社でしか賃上げがない
「中小企業でも、その6割で給料アップが実現しているとの調査」もあるそうだ。わずか6割しかないのだ。あとの4割は消費増税分貧しくなったということだし、2%程度の賃上げでどれほど効果があるというのだろうか。
ボクたちタクシー業界においても、そういった好況感は感じられないし、売上も去年と同じか下がっているぐらいだ。売上が同じということは、増税分マイナスになるのだから、実質は3%以上の賃下げということになっている。ボクたち、そして中小企業、その4割の人々は苦しんでいる。
「雇用状況が改善する中、非正規従業員を正社員にする企業も出てきて」いるそうだ。というか、正社員にする企業は昔からもあったし、なにもそれが雇用状況が改善した結果ではないし、安倍総理の友だちの柳井さん(ユニクロ)とか資金源の豊田さんなんてのが、友達作戦をしただけの話、そしてマスコミが加担して大々的にニュースとして流しただけの話。
有効求人倍率17か月連続で上昇して貧困
「有効求人倍率は17カ月連続で上昇し、7年9カ月ぶりの高水準」にあるそうだ。直近では1.08倍あるそうだ。確かに求人広告の数は増えたし、自動車関連企業は期間従業員や派遣社員を常時募集している。しているとしても、そして2007年以来のというけれど、どこかあの頃とは違う。
企業はバブルそしてリーマンショックを経験して臆病になっている。増益増収が分かっていたとしてもたがだか「2%」の賃上げしかできないし、わずか6割でしかそれも出来ないでいる。臆病になっているもんだから、内部留保というタンス貯金を増やし続けている。一億総タンス貯金時代なのだ。
臆病だから、正社員では雇えずに非正規社員ばかりを増やし、国もその方針を後押ししているんではないのか。そして派遣や期間従業員なんて使い捨ての調整弁でやりくりをする。その非正規や派遣、期間従業員の求人が増えているのが安倍総理の言う「高水準」の理由なのだということは、みんな分かっているんじゃないのだろうか?
オリンピック景気後の不況が待ってる
建設業や農業、漁業、コンビニのアルバイトにすき家の店員、昔でいうところの3Kという業種が高水準なだけなのだ。もって外国人技能研修制度の見直しを行い、その業種の人手不足を解消しようとする。復興が終われば、そして東京オリンピックが終われば、一気に失業者が増える。外国人研修生はそのまま帰国させればいいとしても、同胞に対してはどのような対処をするのだろうか。この国は官民一体の欺瞞国家なのだ。
その3K業種であるタクシー業界も慢性的な人手不足で、有効求人倍率は1.08倍どころか2倍、3倍なんて超高水準な業種なのだ。そして非正規とか派遣とか、アルバイト、パートなんてことは言わずに、常に正社員として堂々と雇用している優良求人倍率貢献企業なのだ。
タクシー業界と景気には一定の相関関係がある。景気がよくなれば(求人倍率が上がれば)、運転手の離職率が高くなり、収入が増えるのだ。逆に景気が悪くなれば、運転手になる人が増え、収入が減る。
以下その相関図をグラフ化した。(って、たいそれたものではないけれど:)
まあ、だいたいこんな感じなのだ。タクシー業界だけではなくて、全業態に言えることなのかもしれないが、要するに景気が好転すると雇用は流動的になり、離職者が増えその離職者が求人倍率を押し上げる、ということなのだ。
求人が増え離職者も増え
求人倍率も増えるかもしれないが、離職率も増えるということ、そして新規学卒者一括採用という悪しき習慣のあるこの国の雇用システムでは、いちどそのシステムから外れてしまい雇用難民になった人たちは、たとえ雇用されたとしても、景気に左右される離職者予備軍になり求人倍率を上げたり下げたりする。その何割かはハローワークリピーターだったり、雇用保険の循環受給者だったりする。
失業率は3.6%で相変わらず改善されないままだ。正社員の有効求人倍率は0.61倍(*1)と前月比でダウンしている。そうして安倍政権になってから「非正規従業員が約93万人増えているが、正規従業員は逆に約38万人も減っている」(*1)
ホームレスがいて、期間工がいて
街は、ボクの見ている街は、けっして安倍総理が言うほどよくなってはいない。相変わらず駅前にはホームレスの人たちが寝ていて、相変わらず期間従業員は毎週やってくる。そしてボクたちタクシー運転手は公共性なんてものを押し付けられて国家の決めた賃金や労働時間で、その国家の平均賃金よりも廉価でサービスを行ている。
「景気回復の実感を必ずや全国津々浦々にまでお届けする」なんて安倍総理が言っている。そうか、きっと、まだボクたちのもとには届けられていないかもしれない。きっとそうなんだ。年末までにはなんとか、「必ず」届けてください。お待ちしています(祈;)
そんな感じで、今日も梅雨空、雨降りそうだね。
平成26年6月24日 安倍内閣総理大臣記者会見 | 平成26年 | 総理の演説・記者会見など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
(*1)週刊ポスト6月20日号「有効求人倍率1.08倍」のウソ
どうなんでしょうね。
あいかわらず募集していて、特別手当10万円も支給されているようだけれど……。
雇用期間が3ヶ月しかないから面接も以前より難しくなっているのでしょうか?
どうも。
あの頃よりは細切れに採用しているような感じはしますね。
2007年、リーマンショック前は登用数も増えていて、3年満了者には関連企業への紹介あっせんも行っていましたもんね。JOIN3なんていってましたけれど。あれもなくなったのかもしれないですね。
まあ、あの頃は、寮も増設していたりして、さすがのトヨタも想定外だったみたいで…。その教訓でどの企業も、ということでしょうか。
トヨタ自動車期間従業員の雇用期間が3ヶ月になったのも臆病な考えからでしょうか?確か2007年頃は正社員登用実績何人とか広告に書いてあったような気がしたんですけど。今は書いてないですね。ということは以前より使い捨てで募集しているって事ですかね?