休日に年休を使っちゃダメですか?

2003年の労働基準法の改正で期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の契約期間の上限が1年から3年に延長され、トヨタ自動車などの製造業においても翌2004年から期間従業員の契約期間が11か月から2年11か月に変更された。
その2004年の春はボクがトヨタの期間工として働くようになった年で、バブル崩壊後の傷も癒えて、リーマンショック直前をピークとする景気拡大の時期であり、立てられるほど分厚く、裏表紙には毎週「期間従業員募集」のカラー印刷が載っていてた求人誌がその好景気を裏打ちしていた。ボクは失業していたのだけれど、まだ失望はしていなかった。
その頃のことは「期間工物語」に少し詳しく書いている。
4月、高岡工場に配属され、田中和風寮に住むようになったボクの4回目の週末がゴールデンウィークの初日だった。ボクは自転車を借りて豊田市内まで買い物に行った。自転車の借用時間が2時間までということを知らなくて、寮監から注意されたことを憶えているし、あの100均で買い物をしたことや、その帰りになんだか情けなくなって泣きそうになったこともキチンと憶えている。
そんな想い出話ではなくて、その年ぐらいまでは期間従業員に長期休暇手当みたいなものが給付されていた。帰省手当もあった。いまはどうだか分からないが、ボクがその後田原工場に勤務している間、GWに手当が出たという記憶がない。
世の中はゴールデンウィークだと浮かれる。テレビでは高速道路の渋滞や、空港や駅の人ごみ、テーマパークの行列を伝える。テレビの言う「国民」とはいったい誰のことなんだろうか。政治の言う「みなさん」とはいったい誰のことなんだろうか。
もうすでに3割を超えた非正規雇用という人たちにとって、ゴールデンウィークは無給週間だということはみんな黙っている。非正規という差別を作り、そこに関することはタブー化する。この国の為政者やその「国民」とやらがよく使う手だ。テレビの画面で楽しそうに笑っているのは「正規」の人々なのだ。
無給週間(ゴールデンウィーク)という非正規の人たちにとっての地獄の日々。また来年から「山の日」なんて休日ができる。その分収入が減る。休日や祝日が増えて喜ぶのは正規の人たちだけなのだ。
非正規はこれからまだ増え続ける。人々は地獄の日々を送る。
どうせ年休の取得率も低いのならば、休日に年休を使っちゃダメですか?非正規の人たちにとって無給週間が有給週間になるのならばそれはそれで良いのではないかと思うのだけれど。そして祝日を増やすのではなくて、年休の数を増やして非正規にも完全に消化できる環境作り、いや法で非正規が、休日や祝日が地獄の日々になっている彼らが年休を完全消化できるような法整備をしてもらいたいと思うのだ。
そうでなければ、祝日なんてものは正規の人たちのものになってしまって、建国記念日も憲法記念日も天皇誕生日も地獄の日々になってしまう。国民という意識がなくなれば、国家は滅亡してしまう。そう思うのだけれど…。
木曽 御嶽山

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