どうして結婚しますか? ~こどもの日に考えたこと~

いつものようにゴミ収集車が来て、いつものホームレスはアルミ缶を拾っていた。安アパート界隈にはゴールデンウィークの気配なんてものもが感じられず、これまたいつものような朝の中にひっそりと、そしてキチンとたたずんでいた。
テレビの中の喧騒はいったいどこの国の出来事なんだろうか、なんて考えていた。高速道路のあの渋滞や、空港や駅のあの人ごみ、テーマパークのあの行列は、真実なんだろうかと考えていた。そのテレビでは消費を煽る番組と宣伝を垂れ流している。「外に出て食べること」が本寸法の生き方なんだろう。
雨が路地裏に溜まった犬猫の匂いを流している。雨がボクたちの荒れた心を慰めてくれる。
そういえば子供の頃も雨の日が好きだった。外に出なくて良かったから。そういえばあの頃もボクたちにはゴールデンウィークなんてものはなかったし、こどもの日が特別な日でもなかった。そうしてボクは雨を望んでいた。ちょうど今日みたいに…。
今の生活が、こうして安アパートのの一室で密かに暮らすような生活が、ボクは気に入っている。豊ではないけれど、貧しくもない、暮らし方ひとつで不自由なく生きられる、そんな生活は悪くはない。お金もなく時間もないのだけれど、欲もないから、貧富という線上でバランスを取りながら生きながらえることが出来ている。
結婚しようなんてことも全く考えていない。だいたいボクのような子供が生まれることを考えると、その可能性があることを考えると、子供なんてつくろうなんて怖くて考えられない。みんなほんとうに自分のDNAを引き継ぐ子孫を望んでいるんだろうか?それほどみんな自分に自信があるんだろうか?それとも結婚と出産なんてことは全く別のことなんだろうか。自分の老後のためなんて計略的なことで結婚するのだろうか。
結局は好きだから結婚するのだろうけれど…。そしてその結果として子どもが産まれるのだろうけれど…。
子供の幸せを考えない親はいないのだろうけれど、ほんとうに子供の幸せを考えたならば産まないほうが幸せってことはないのだろうか。こんな日本で、こんな地球で、こんな未来のない世界で。それとも、自分の子供だけは幸せになるって思っているのだろうか。
それともこの国のために健全な消費者を生産するために、子供をうむのだろうか。高速道路のあの渋滞の中に、空港や駅のあの人ごみのなかに、テーマパークのあの行列に、そこにいる人たちを生産することが結婚なんて考えると、やっぱりボクは間違ってないように思うのだけれど…。

2件のコメント

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    嫌な子供が育って今の自分になったのでとてもそれを繰り返せないですな。確かに怖い。自分のエゴを他所様にぶつけるほど人間できておりません。饅頭こわいレベル。(笑)
    唯一、親に愛された事だけは感謝します…それだけで充分か

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    家庭もこどもも作れない、結局それが希望であり絶望。自分を支えるのが全て、精一杯。生きる意味がない。孤立して生涯を終える。
    惨めな人生を親のせいにはできないから、どう育っても自分が悪い。でもそれが人生なら、自分がこどもを作るなんて考えられない。
    絶望の苦しみを紛らわすこと、それが喜び、癒し、生き甲斐、日常の全て。

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