派遣労働禁止はどこいった

いよいよ「ずっと派遣」という労働者が生まれることになりました。「禁止」どころか。これで格差は固定されるだろうし、若者の非婚化が進み、犯罪の凶悪化に拍車がかかり、アクりフーズ事件のような事件は続出するでしょう。
いや、逆に、若者は今よりももっと無気力になり仙人化するのかもしれません。今でさえ暴動やストライキどころか、自分たちが差別されているという現状にあっても声一つ挙げない人たちなんですから、これから起きるどのような不遇にたいしても、きっとこれまでのように、国家の家畜として、黙々とその国家を愛するのでしょう。
ほんとうは誰にヘイトスピーチをしなければならないかということまでも知っていたとしても、若者の愛国心は、彼らを苦しめている張本人へはむかいません。それどころか彼らを苛めているその国家に対してなおさらの忠誠心を持つことになるなんて、なにかまた戦中に逆戻りしたようにも感じます。
今回の改正、労使協議によって3年という制限はあるとしても、「労働組合」という正規社員のための組織は、部外者である派遣社員の味方なんてすることもないだろうし(それはもうすでにあなたたちは身に染みて解っていることなんだけれど)、労使協議なんてのは実は使使協議と同義語で、会社のためなら、そして彼ら正社員のためならば派遣を切るってことなんて平気でする人たちが、派遣労働者のために機能するなんてことはないのです。
機能させると言って派遣労働者を組合員にし、組合費を徴収するかもしれません。ちょうどどこか大手の自動車労組のように。そしてその組合費が非正規社員のために使われるなんてことはほとんどなくて、一部は幹部の遊興費に、一部は専従なんてよくわからない人たちの給料に使われるのだろうし、そして一部はもっと自分たち正規社員の地位を拡大するために政治家のために使われ、今回のような改悪(彼らにとっては改善)を推し進めることでしょう。
世間は「ベア」なんてことで浮かれています。アベノミクスは奏功して「正規社員」の給料は上がるでしょう。トヨタ自動車の社長も「儲かっている企業の従業員の賃金を上げるのは当然」なんて「当然」という言葉で、そのベアを保障しています。
確かにそれは当然のことでしょうし、それが企業の責任で正義でもあるし道義でもあるし、社会への還元でもあるのでしょう。素晴らしい発言です。がしかし、その素晴らしい発言、正義なんてものは、これまた正規社員にだけのものであって、非正規社員には「当然」ではないのです。これが差別なのだということを、誰ひとり言おうとしません。
トヨタ自動車の期間従業員の日給9000円は、業績にも景気にも影響されることなく不変です。「ずっと9000円」なのです。彼らは「儲かっている企業の従業員」ではないということなのです。当然ならば彼らの賃金も待遇もアップされるべきなのです。そしてそれをしないというのならば豊田社長は差別主義者なのです。そしてその差別が国家を滅ぼしてゆくのです。
いったい非正規労働者はどこの企業の従業員なのでしょうか。どこの国の国民なのでしょうか。
いやもう「ずっと派遣」「ずっと9000円」、もうそれで満足してください。そしてゆめゆめ結婚したいとか子供を産みたいとか、あるいは、普通に生きたいなんて思わないでください。それがこの国のためなのでしょうから。
派遣という人権はとうとう死にました。というか派遣という被差別労働者が固定化されただけのことなんでしょうけれど…。今ならまだ間に合うかもしれませんけれど。
労働者派遣法改正
派遣法:「無期」来春目指す 厚労省、改正案提出へ – NPO法人 働き方ASU-NET

4件のコメント

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    >「労働組合」という正規社員のための組織は
    自分の会社では今や正規社員すら守ってくれません役立たず労組

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    まったくもって同感です。狂っている。

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    冷凍食品に農薬投入の容疑者は契約社員で手取り12万だったとか。しかも、準リーダーで指導もやらされてたようですね。

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    日給9000円つまり月給20万円ですか。
    正社員で非正規社員と殆ど同じ仕事してる
    人はいるのですよね。で、彼らは月給もっと
    高いしボーナスも出るし、、、、
    少子化を憂うなら、「女は専業主婦でいろ、
    男はスーだら正社員」ってな社会にしないと
    あかんのんかな。

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