だくだく

また悲しみが朽ちかけた過去の枝に赤い実をつけたね。そうしてガラスの破片の朝に甘い香りを漂わせている。ボクたちの間にある躊躇いとか戸惑いなんていう時間の方向なんていうものは相変わらず分からないままで、もうクリスマスがそこまで近づいているというのに、あてもなくそこいらにやっぱり漂っている。
ローソン100の豚汁の素でシチューを作った。その中にご飯を入れて、それが今朝の朝食だった。昨夜は寒くて暖房を入れた。相変わらず変な時間に目が覚めた。3時48分、寒さに目が覚めた、というよりも、もう時間の感覚までも失いかけているということなのだろう。
その真夜中、生姜シロップにお湯を入れて、そう言えば砂糖が切れていたので蜂蜜を入れて飲んだ。しばらく、部屋が効きの悪いエアコンで暖められる間、布団の中にもぐり込んで、別れた人たちのことを想いだしていた。たぶん、これからも、別離なんてものはボクたちと背中合わせにある。だけれど、出会いなんてものがめっきり減ってしまっている日々にあっては、そのひとつひとつはかなりの質量を持ってボクたちを苦しめる。ボクたちの希望とか未来なんてものを奪ってしまう。
あの頃、例えば2008年なんてのは、もう少しピントの合った写真を撮っていたなあ。どうしたんだろう。視力のせいかもしれないと思ったり、老眼が入ったかなんて思ったりしている。というよりも、本当は毎日毎日引きこもりの生活を送っていて、感覚が破壊されてしまっているのだろうね。山に行きたいなあ、電車に乗って隣の街へ行きたいなあ、なんて思ったところで身体が動かない。病気ですか?なんて自問自答したり。
部屋が少し暖まったところでボクは起き上がる。「だくだく」を聴く。
オレ、ぱっと布団から起き上がったつもり。
それから服を着替えたつもり。
用意をして駅まで歩いたつもり。
切符を買って電車に乗ったつもり。
窓際の座席に座って暖かいコーヒーを飲んだつもり。
少し眠くなったので寝たつもり。
いや本当に寝てしまって、8時過ぎに目が覚めた。そうして、また、
オレ、ぱっと布団から起き上がったつもり。
それから服を着替えたつもり。
……。
もうそろそろお昼みたいだね。
少し寝るか。
名古屋の夕暮れ ミッドランドスクエアから
リーマンショックの年、というか、その号外が出た日だったね。

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