一期家一笑の惣菜で熱燗を一杯

NHK木曜時代劇「ぼんくら」、松坂慶子さん演じるお徳の職業は「煮売屋」。江戸時代にはその煮売屋なる商売があって、店舗や屋台それに行商によって惣菜が販売されていたようです。こうして文明が高度化してボクたちの暮らしすべてが便利で豊かなものになったか、というとそうでもなくて、わざわざスーパーや百貨店まで行かなければ惣菜さえも買えない時代になってしまって、その不便さを補うために交通というものを発展させなければならなくなったように、わざわざ破壊し補修する作業を延々と行っているようにも思います。

「先々の時計になれや小商人」なんて落語のまくらにありますが、江戸時代には時計が必要ないくらいにキチンと物売りが来ていて、たとえ病気で動けなくなったとしても餓死したり孤独死したりすることのない便利な世の中の仕組みができあがっていたのでしょう。まあ、今でもヨシケイやワタミなんてところが宅配弁当をやっているのですが…。

その煮売屋、今の惣菜屋さんでしょうけれど、最近はコンビニでも個食用にパックやレトルトで販売されていて、便利になったと言えば便利になりました。ボクも卵焼きとか筑前煮、ヒジキの煮物、それにポテトサラダなんてのをたまに買います。どれも100円台で手頃は手頃なのですが、どうも手作り感みたいなものとはほど遠い感じがします。封を切って絞り出す行為がその感じなのでしょうけれど。

そう思うとスーパーの惣菜売場のほうが手作り感があるのですが、それでも総菜工場で大量に生産されているようなものもあってなんだか工業品を想像してしまい、そのイメージが味覚を少しだけ狂わせているようで「手作り」とか「新鮮」とか「家庭的」なんてものとは違う気がするのです。

それでコンビニだけではなくてスーパーの惣菜も、それほど好きになれなかったのですが、下地町にある一期家一笑さんの惣菜は手作り感があって新鮮で家庭的で、これまでボクが感じていたものとは違う味がして、最近は時間があると(たまにですけれど)一期家さんの惣菜を買って、それをつまみにして、そしてご飯のおかずにしています。

お年寄りが多い土地柄なのか(たぶん)味付けもよくあるスーパーの濃い味ではなくて薄味というほどではないにしろ健康的な塩加減だと思います。それに量り売りなので食べたいものを少しずつ買えるのもボクのような独身者にはありがたいのです。

写真は手前からサーモンのマリネ、右側が卵焼き、奥が里芋とイカの煮物、これだけで400円少しでした。これをつまみに熱燗で一杯、そしてもう一杯だったのですけれど、少量生産少量消費なんてことのほうが正しいように思うし、なによりも生産者がキチンと分かる仕組みのほうが、やっぱり正しいように思います。

煮売屋みたいな店ができないかなあ、なんて思っていて、ついでに屋台でやってくれりゃいいのに、なんて思っていますけれど。そういえば屋台の焼き鳥屋さんや五平餅屋さんなんてのはあるのにね。移動惣菜屋はきっとこれからニーズがあると思うんだけれど…。どうなんだろう?

ということで寝るか。

一期家一笑の惣菜

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