タクシー女子

女性の活躍促進という安倍内閣の「日本再興戦略」に合わせるように「ドボジョ」や「トラジョ」なんて優しいネーミングを用いて、女性たちをこれまで敬遠されてきた職種へ参入させようとする動きが各省庁で活発化している。

と言うことを前回書いた。我がタクシー業界でもご案内のとおり人材不足、労働不足は慢性化、深刻化していている。だからこそ「ドボジョ」や「トラガール」に変身される前に、こちら側にお出でいただかないと、不足どころこか存続の危機にまで発展しかねない、と思っている人も多いはずだ。ということで、タクシー女子について考えてみた。

タクガール

まずネーミングだ。タクシー女子…、「タクジョ」とか「タクガール」で良いだろうか?そのまんま「タクシー女子」とか「ハイガール」とかとか…。まあ、ガールと呼ぶのに相応しくない齢の方のほうが多そうなので、やっぱり「ドラジョ」(ドラゴンズ女子みたいでダメだなあ)、「四輪女子」とか「キャブジョ」とか、おもいきって「おもてなし女子」とか「カゴジョ」とか「車輪女子」(なんかHなイメージでダメか)「キャリージョシジョシ」とかとか…:)。

しかし名称を変えたところで、美辞麗句を並べたところで、施設を女性向に変えたところで、女性の応募は「ドボジョ」や「トラガール」あるいは「ゆうメイト」や「クロネコ女子」にはかなわない。それら職場を選択する女性の方が圧倒的に多いのだ。

タクシーの賃金の問題

なぜか。それは賃金制度の違いなのだ。

例えばタクシーの求人は「給与:35万円以上」や「当社規定による」なんて収入をハッキリさせていないケースばかりだ。多くの求職者はそこに胡散臭さを感じているはずだ。

タクシー運転手の低賃金が社会的問題となっているにも関わらず「35万円以上」なんて堂々とアナウンスすること自体、ボクには胡散臭さ以上の恐怖みたいなものを感じる。「人智を超えたなにかがある」なんて思ってしまう。きっと「売られちゃう」なんて思う女子もいるはずだ…。(いないか)

たしかに35万円以上は可能だ。それは寿司屋の時価みたいなもんで、あるいは相場みたいなもので、初心者には入りにくい。それに「当社規定」なんて描いているけれど、普通は従業員規則、賃金規定がある。ないのは一部ブラック企業だけだ。純粋な、初心な女性、あるいは若年求職者にはそのあたりでもうNGなのだ。

感覚が鈍化している。というか、中にばかりいると外が分からないくなっている。だから、その文言がいかに一般社会では陳腐でいかがわしいかということが分かっていないから業界に人材が集まらないのだ。

高給より安心安全第一

女性も若年求職者も「高給」は求めていない。ボクもそうだったのだけれど、職を失うこと、あるいは面接に落ちるということは、人格を否定されているようなもので、失業、求職活動というのは精神的に疲れるものなのだ。(このブログの『失業の日々」を読んでいただくといかにボクが疲れていたか分かるのだけれど)多くの人が、特に女性や若年層は、「安心」とか「安全」なんてキーワードを心に浮かべて求人検索する。「時給」とか「社内規定」なんてのはその次なのだ。

そこいらを忘れてしまっているから平気で「35万円以上可」とか「当社規定による」なんてことを書いてしまう。

安心、安全、それはなにもタクシー利用者だけが求めていることではなくて、ボクたち業界の中にいる者も、そしてこれから中に入ろうとしている求職者も同じように求めているのだ。

タクドラで固定給

それにはまず給与を固定給にすることなのだ。主婦の方や女性、あるいは若い人たちは歩合給を求めていない。確かに労働に対してのインセンティブはある。としても、じゃあ子供が熱を出したら、あるいは、身体を壊したら、なによりも稼ぎが少なかったら、なんてことを考えると、そんな給与体系は避けるに決まっている。多くの人たちはまず安定した生活を望んでいるのだ。不安定な現状をなんとかしたいのだ。主婦の方は賃金ではなくて「自由度」を求めているのだ。子供のために働きたいのだ。決して「35万円以上」ではない。

それにその歩合給だって「当社規定」の時価応相談のような胡散臭さで鼻が曲がりそうなのに…。

トラジョ、クロネコ女子、ゆうメイトなどの自動車運送事業には女性労働者がかなり進出している。若い女性も多い。今日我が家に来たクロネコ女子はどう見ても20代だった。どうしてタクシー女子には若い女性が入ってこないのか?業界の人たちはもっと真面目にそのことについて考えるべきなのだ。

運転手不足は永遠の課題なのだ

若い女性がどんどん業界に入ってこないと、タクシー業界で働くボクたちが「熟女好き」なんて思われる。あっ、そうではなくて、労働力不足で再度規制緩和が行われる。そうなってしまっては元の藻屑いや元の木阿弥になってしまう。歩合給なんて企業都合の賃金体系を止めてこそはじめて「規制」される業種になるということを業界が考えないといけないと思う。そして今がそのちょうどの時期なのだ。

トラガール
トラガール

ということで、女性のみなさん、タクシー業界は安全安心な職場です。タクシー女子になりませんか。まずはお電話にて。心配ならボクが手取り足取り…ゲホゲホ。

 

タクシー運転手の求人広告がカッコ悪い件
タクシーに乗って

4件のコメント

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    さといもさん、こんにちは。
    そちらも、台風一過、晴れていることでしょうね。
    そうですね、1月に施行されたタクシーに関する改正特別措置法の衆参の附帯決議にもそのことが盛り込まれています。
    まあ、運転手側にも原因があるのですが。

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    こんばんは。
    個人的には労働者として働く以上その都度変動する歩合が占める割合が極端に大きい給与体系は好ましくはないと思います。
    完全に固定給にしてしまうと成績の極端によい方は不満を示すだろうし逆にさぼりにつながるおそれもないとはいえないので固定給をベースに成績に応じて賞与で反映するもしくは直近の成績で固定給を変えていく(但し著しく労働者に不利な条件にはならないよう注意する必要あり)やり方がよいのではないでしょうか。
    あと丸一日近く働いて1日か2日休む勤務体系なども将来的に見直されるのではないでしょうか。

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    415さん、どうも。
    東京では具体的に議論しているみたいで、固定給での応募も近々行うようなことを聞いています。
    東三河地域のように車庫待ちでの営業形態だと変えやすいでしょうね。まずは日勤の人たちから月給制にするとか。
    時給換算、例えば1000円として日給8000円、売上だとその2倍少し16000円~17000円、月の営収で32万円~34万円、月給16万円~17万円、それほど難しい数字ではないと思うのですが。
    サービス業で歩合制ってのにそもそも無理があるようにも思います。
    固定給にすればサービスが必ず良くなるとは限りませんけれど、今のように近距離のお客様を粗末に扱ったり、なんてことはなくなるだろうし、待つことも出来るだろうし、確かに顧客は獲得できると思いますけれど…。
    というか、いろいろなことが出来ると思うのだけれど。

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    ご無沙汰してます。
    なんでしたら、40才以下の方限定で私も手とり足取り・・・ゲボゲボ。
    それはさておき、とても共感できます。
    でも、変わる事、変える事ができるでしょうか?
    今の、賃金体系は支払う側にとってはメリットだらけの様にも見えます。
    本当は、固定給ベースにして配車等、車や人材の使い方を洗練した方が、顧客獲得に大きく繋がると思うのですが、
    笠山さんはどうお考えですか?
    冒険をしたがらない、目先のことしか見てない、この業界の多く経営陣では、解らないのでは無いのでしょうか?

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