タクシー配車アプリ~タクシー規制について(2)~

前回の「Uberが普及しないたったひとつの理由~タクシー規制について(1)~」を書いていて、タクシーに関する規制が緩和、撤廃されたとして、本当にそれが利用者の幸せにつながるのだろうか、そしてボクたちの利益につながるのだろうか、なんて思った。

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uberが普及しないたったひとつの理由~タクシー規制について(1)~

タクシーがシェアビジネスとして確立、例えば大前センセイのおっしゃるように「海外のように自動車を持っている一般人もタクシー・ハイヤーとして営業できる」ようになったとして、安全はどのように担保されるのだろうか。だれがどのように保障するのだろうか?なんてことが問題になる。また時代と逆行して運転手に過重労働を強いるようになりはしないか?あの関越道事故のような惨事の再発を危惧するのだ。

配車アプリ

タクシー配車アプリが管理できるのは利用者と車輌の位置関係と単純な距離による運賃だけだ。運転手が休憩していようが仮眠していようが、そしてもっと重要な点は法定労働時間を超えようとしていようが、そんなことはかまわず配車してしまう。あるいはuberの目指す「一般人」という運転手が飲酒やドラッグをやっていようが無免許だろうが、それもかまわず配車して契約が成立してしまう。

そこが一番の問題だ。運行管理や労務管理の部分を取っ払ってスマホを介して個人と個人が自由に契約してしまって本当に安全なのかということ。確かにタクシー規制は「岩盤規制」だろう。しかし安全を担保するためには岩盤のほうがいい。

ライドシェアの問題は、現在タクシー会社が行っている運行管理が抜けている点だ。

運行管理の問題

バスやタクシーを運転するにあたって飲酒運転は絶対あってはならない。睡眠不足や体調不良などの健康管理も必要だ。つまり運行管理者が運転手の安全を管理しているとも言える。

さらに健康診断も定期的に受診している。運転適正検査も受けている。そのおかげでずいぶんと事故が防止できているはずだ。そして利用者は安心しているはずだ。

安全や安心なんてものは岩盤であればあるほど正しいはずだ。岩盤規制こそがこの国の公共交通機関を世界一安全なものにしているのだ。そこを掘削し緩め地すべりさせることにメリットがあるとは考えにくい。

タクシー会社の配車アプリ

タクシー会社系列の配車アプリはそのことを踏まえて配車管理している。確かに系列別にあって利用者には使いずらい点はあるにしろ、その分が安全安心の部分なのだ。

もう一点、じゃあ、uberの経営費用は誰が負担するのか、ということ。ボランティアでこの国のタクシードライバーと利用者のために運営しているということでもないだろう。賃金がこれまで通りなら、タクシー運転手がわざわざuberドイラバーに転向することもない。つまり雇用体制の問題。社会保険に健康保険、年金制度に雇用保障。それらが揃っている法人タクシーは雇用の面でも安全なのだ。

ピンハネされてまで配車を受けるよりは、駅で待っている人を、病院でうな垂れている人を、買物に行くのに困っているお年寄りを、繁華街で酔っ払っている人を、お乗せした方がよっぽどましだ。

ライドシェアという人材派遣

要するにタクシー運転手の人材派遣みたいになってしまうようにも感じる。岩盤規制を緩和して非正規社員が増えたように、そして企業が内部留保をたっぷりと貯めこんだように、その結果この国が不幸になってしまったように、けっして規制緩和や撤廃が正しいとは限らないということを、ボクらはすでに学んできているのではないのか、そう思うだ。

「創意工夫を凝らしてサービスの高度化や高質化に積極的に取組むことにより、需要の拡大を図ること」とタク特法一部改正の附帯決議にあるのだけれど、高度化、高質化には安全とか安心とかそこで働く人たちの生活が豊かになることなんてこともたっぷりとキチンと含意されているということを理解してもらいたいと思っている。

 タクシー運転者の年収・労働時間 -
タクシー事業の現状 | タクシー運転者の年収・労働時間 – 全タク連

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