ツユアケ

表浜にゴンドウクジラが漂着した海の日の朝、前夜の花火大会の抜殻がそこいらに散らばっていた。鼓膜の裏側にはしゅるしゅるという打ち上げ花火の音がこびりついている。

青い空と熱い空気と夏休みの子供たちの乾いた声が、キチンと20日にやってきた。台風が梅雨を追い払ってくれた。

天気が、とりあえずボクの最大の関心事で、雨が降ると忙しいかなあ、とか、大雨で事故なんて起きないかなあ、なんてことをとりあえず真っ先に考えて一日が始まり、一日が終わる。巷間流行りの「安保法制」とか「国立競技場」なんて問題なんてのはボクの生活にはほとんど関係なくて、それにボクの将来にもほとんど関係しそうにないもんだから、「どうでもいいじゃん」なんて考えたりしている。

それはイケナイことなのかもしれないのだけれど、じゃあどうすればいいんだろうか、なんて考えることも面倒くさいし、マスコミという唯一の接点に対しても、信頼していない現状では、何をどう信じていいのかということさへ分からなくなってしまっているのが、この国の大衆なのだろうと思う。ボクもその大衆のひとりなのだけれど、思考停止することの気楽さの座蒲団に胡坐をかいていて、いよいよ身体も精神も退廃し腐敗が始まっているのだろうと思う。

暑くなってくるとデモもストもしたくない、それが大衆の本音だろうし。それにとりあえず死ぬのは自衛隊だろうし、なんて思っている人が多いのも確かだろう。内閣支持率なんてものも、この状況だから「支持しない」なんて人が多いだけで、たぶんアンケートの取り方にも問題があって、そもそもその数字だってマスコミが出しているのだから、ボクたちは半信半疑なのだ。

「とりあえず反対」だけれど、実は「どうでもいい」と思っていて、結局「安保より景気」という人が多いに決まっているのがこの国の現状、というか大衆の気持ちなのだ。

改憲という方向に誘導している気配もあって、結局、違憲で戦争か、改憲で戦争か、なんてことで、どっちみち戦争なんだから、これまたどうでも良い話になってしまう。

もうすでに若者なんてのは見殺しにされているんだから、いまさらなにが「戦争反対」なんだろうと思う。そう思っている人がけっこういて、たぶん非正規社員だけでアンケートを取ると、戦争賛成が大多数だったりすると思う。期間従業員募集よりも期間戦闘員募集のほうがワリが良さそうだし、ケガをしても病気になっても親方日の丸で、どこかの大企業よりは安心だろうから、行きたいと言う人も多いだろうし、ボクだって「後方支援」なら行っても良いと思っている。

非正規社員で儲けているこの国の企業にとっては、その非正規社員たちが戦争に行くのは困るだろうけれど。そう考えると、マスコミも学者も、ついでに労働組合も「困る」から「反対」で、もしかしたらその企業から資金でも出ているんじゃないかと勘繰ってしまう。

雇用問題も人口問題も戦争で解決するんじゃないかと思ったりもしているんだが…。

とにかく梅雨があけた。

ツユアケ

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