善福寺:菟上足尼命ゆかりの地に伝わる「ならずの梅」の伝説

豊川市平井町水戸田に位置する時宗の寺院、竜華山善福寺。隣接する平井八幡社とともに、幾度もの津波や火災に見舞われながらも、この地の歴史を静かに守り続けてきました。ここは単なる寺院ではなく、東三河の開拓神である菟足神社の祭神・菟上足尼命(うなかみすくねのみこと)と極めて深い関わりを持つ聖地でもあります。

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「菟上足尼命」安着の地と教育の記憶を刻む山門

伝承によれば、菟上足尼命がうつぼ舟に乗って鉾田の浜へ安着した際、この地の郷人である伴松鶴の祖先が田園を奉納し、宮を建てたとされています。山門前には、命が梅の木の下で休息したことを示す「菟上足尼命御休憩舊(旧)跡」の石碑が立ちます。そして、境内には今も菟足神社を祀る祠が鎮座しています。

また、山門の鬼瓦を仰ぎ見ると「」の字が浮かび上がっています。これは明治27年、境内に平井尋常小学校豊秋尋常小学校)が移転してきた際の名残であり、「高等」を意味するものとして、地域教育の拠り所であった歴史を今に伝えています。

伝説を繋ぐ「ならずの梅」と風祭りの神事

境内に植えられた一本の梅の木には、切なくも神秘的な「ならずの梅」の伝説が残っています。かつて菟上足尼命が蹴鞠をされた際、鞠が梅の木に掛かって実がすべて落ちてしまいました。そして、命の崩御後は二度と実を結ばなくなったといいます。現在は何代目かの木となっていますが、里の人々はこの不思議な伝承を大切に語り継いでいます。

菟足神社の例祭「風祭り」においても、善福寺は重要な役割を担います。初日の浜下神事における「垢離取り(こりとり)」の際、御分霊を宿した鉾が境内の鉾石に立てかけられ、厳かに祝詞が奏上されます。ここでの神事の後、一行は菱木野天神社での雀射初(すずめいぞめ)へと向かい、壮大な祭りの幕が上がります。

  • 寺号 竜華山 善福寺
  • 本尊 阿弥陀如来
  • 宗派 時宗
  • 創建 文和2年(1353年) 重阿弥陀
  • 兎の瓦(隅巴兎、阿吽でしょうか)が屋根に載っています。

善福寺の地図・行き方

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参考文献
小坂井町誌 – 国立国会図書館デジタルコレクション.
「ならずの梅」愛知県伝説集 増補 – 国立国会図書館デジタルコレクション.

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