配車アプリの未来とタクシー運転手の未来
オレたちに未来はない、としても、配車アプリには未来がありそうだ。
前回述べたように、タクシー業界では配車アプリをめぐって合従連衡が進んでいる。現状では三大勢力がしのぎを削っている。その抗争が終わったあとに、利用者の利便性を犠牲にし、ガラケーと同じように「ガラ配車アプリ」になるのではないのだろうか。
配車アプリの未来
配車アプリを使った白タクが合法化されなくとも、Uberや滴滴出行は売上を伸ばす。海外旅行者にとっては配車アプリは必要不可欠なものになっている。
すでにボクたちのデータはGoogleやAmazonなんて海外企業が持っている。ボクの欲しいものや行き先まで管理されている。そんな時代に「国家安全保障上、ローカルな移動のデータはローカル企業が所有権を持ってきちっと管理していかないと危ない」なんて言う日本交通の川鍋一朗会長のUber反対論は詭弁でしかない。
過保護に育てられた業界がまた「安全」を持ち出して不安を煽って独占しようとしているようにボクには映る。
運転手不足の未来
さらに『日本交通の川鍋一朗会長は「1度(タクシーに特化することを)表明しただけで信じるのは不用心すぎる」と海外勢の提携拡大を警戒する』と言う。しかし、労働集約型産業で労働力不足にある業界の売上は減少傾向にある。そうなると、頼みの綱は観光だ。UberやDidiによるインバウンドのタクシー利用を増やすしかない。各タクシー事業者がUberやDidiによるタクシー配車を禁止して、自社開発配車アプリ「Japan Taxi」独占にするのか、と言うことだ。
近い将来、オーバーツーリズムで混乱する移動産業で、タクシーに特化した(日本交通製)アプリだけで大丈夫なのか。そんなガラパゴスアプリは消滅するのではないのか。
白タク、黒タク、色々
タクシー、というかモビリティ、移動手段に白も黒もなくなったほうが良いように思う。業界はいつも「安全性」を盾に独占しようとする。しかし、業界の中にいるボクはその業界の「安全性」とか「公共性」に懐疑的だ。
タクシーの「利益」が優先されて、他の公共交通機関が生まれ育たない。それが移動サービスの現実ではないのか。
もっと利用者に選択させろ、そして業界はもっと「公共」に立ち返れ、そう思う。合従連衡、そのことこそが「国内で配車システムの恩恵がタクシー業界内にとどまれば、世界とのサービスの差が広がる恐れもある」ということだ。
白タクの合法化はいずれ来る。白タク反対だけを議論してもしかたないのではないか。タクシーがまず考えることは、公共性と利便性ではないのだろうか。そのことをもう一度考えてほしい。
そして、もっと使いやすい移動サービスを提供する、そんなアプリの開発をしてもらいたい。それには、UberもDidiもJapan Taxi配車も名鉄タッチも、スマたくも使えるようなサービスにしてもらいたいと思っている。