運転手に明日はない

運転手に明日はない。というのも、ライドシェアに配車アプリ、自動運転に無人の車。タクシーという移動手段に未来はあっても、オレたち運転手に明日はない。業界は生き残り運転手は死ぬ、高齢化した労働力がそれをスムーズにする。

ナショナリズムと自社独占

最初はUberそのものが敵であり「EVIL(邪悪)」だった。そのために「11項目の取り組み」なんてものを行ってきた。

そしてそのうちそれは「大嫌い」なんて私怨にも思える感情論になって「国家安全保障上、ローカルな移動のデータはローカル企業が所有権を持ってきちっと管理していかないと危ない」なんて海外企業を排除し、ナショナリズムを煽るような強弁で自社独占を言い出すしまつ。

それが業界トップの考え方なのだから、その末端にいるボクは理解不能に陥ってしまっている。さらに、何が良いのか悪いのかの判断に苦しむ。ライドシェアが悪いのか配車アプリが悪いのか?便利さが悪いのか不便さが悪いのか・・・。

労働者貧困の仕組み

主役であるはずのボクたちが分からない。だから、利用者も分からない。分からないままに物事が進む。これがこの国のタクシー業界の宿痾。結局はトップに公共という意識が欠如していて、利他的思考なんてのは持ち合わせていないからだ。いつも分裂させ独占しようとする。

資本主義社会で、儲けることは悪くない。しかし、その利益を労働者へ、そして社会へ還元しない。つまり、経営者がケチだから国が傾く。国家のためと言いながら、結局は自分のため。そのうえ、公共という言葉も「補助金出すべし」という枕詞ぐらいにしか考えていない。だから、国が貧しくなり、人びとが貧しくなる。

配車アプリ仁義なき戦い

ソニーと大手タクシー5グループと共同出資し、配車システム開発の新会社を設立した。これで大きく3つの組織に分裂した。仁義なき戦い、抗争の始まりだ。

  • 第一交通産業グループ:滴滴、Uber(ソフトバンクが出資)と提携。
  • 日本交通グループ:全国タクシー配車(トヨタ自動車が出資)
  • チェッカーキャブ、大和自動車交通、日の丸交通、国際自動車、グリーンキャブ:ソニーと共同出資して新会社。

タクシー配車、AIで競う ソニー、大手5グループと新社 新サービスの基盤に :日本経済新聞

タクシーの配車システム、日本経済新聞 「運転手に明日はない」

利用者と運転手の負担が増える

結局こうなるのも分かっていた。結局、タクシーチケットと同じで、利用者は3つのアプリを入れるようになる。そして、外国人環境客は自国で使っているUberなんて配車アプリを使うようになる。まとまらないのは、もう業界の文化風土になってしまっている。困るのは利用者と運転手。

まあ、「国家安全保障上、ローカルな移動のデータはローカル企業が所有権を持ってきちっと管理していかないと危ない」なんてのはすでにgoogleやAmazonでボクたちが捨て去ったことで、ただ単に、タクシー業界の王子と自動車業界の王様が、ナショナリズムを煽って、そうしていつもの手段で労働者を使い捨てにして王国の、その領土を拡げようとしているだけのようにボクには見えるのだけれど。

配車アプリのガラパゴス化

抗争が起きる、まとまらない理由はなんだ。

それは、公共を無視しながら配車アプリを作ろうとするからだ。ガラケーと同じで「ガラ配車アプリ」となる予感がする。そう感じるのは、ボクたけではないはずだ。とにかく、業界がひとつにまとまらないから不幸になる。「国家安全」なんてことを言っているからガラパゴス化する。

消費者であるボクたちはgoogleやAmazonとは切っても切れない仲になってしまっていて、その繋がりは「国家」よりも深いものになっている。そして、海外にいても利用できる。王子の目指す配車アプリは海外では利用できない、海外へも輸出できない国内専用なんだから、そんなものはいずれなくなるに決まっている。

運転手に明日はない

まあ、そのうち配車アプリで自動配車した車が自動運転するようになるのだろうから、ボクたちは必要がなくなる。それは労働集約型の企業にとっては収益増加になり、労働力不足の解消にもなるのだから、願ったりかなったりなのだ。

まあ、どんなアプリになろうと、どんな配車システムになろうと、ボクたちは消滅するってことで、それもまた貧乏人がこの国家からいなくなるってことなので、目出度いこともかもしれないと思うと、配車アプリではなくて廃人アプリかもなあ、なんてオチをつけたところで、よかろうか。

日本の「タクシー王子」、業界変革に奔走 黒船ウーバーを迎え撃つ施策 – SankeiBiz(サンケイビズ)
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1件のコメント

  • こんばんは。

    どんな業界でもそうですが適度な競争を促す、万が一破綻した場合社会への影響を小さくするといった意味合いから1社が独占するよりいくつかの会社が共存していたほうがよいと思いますが規格争いで分裂するのは消費者にとってあまり恩恵はありません。

    VHSとベータ、ブルーレイとHD DVDなどが代表的でしょうか。

    大手航空2社とLCC、3大キャリアと格安SIMあたりは差があるから住み分けされてると思いますが。

    自動運転といいますがある一定の経路をぐるぐる周回するようなものには採用されても完全に無人化まではいかないと思いますよ。
    20年も30年も前から色んな産業にロボットが普及しそのうち人は必要なくなると言われていますが意外にそうでもないのをみると。

    例えば判決をAIが出すようになったら主観による感情的なものが排除されるとはいえ大岡裁きみたいな事がなくなりどうなんだろうと思ったりはありますよ。

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