期間従業員が増えているたったひとつの理由

「あの~、田原のトヨタ寮まで」
「はい、どちらの寮ですか?」
「えっと、イオンの近くなんですが」
「吉胡?滝頭?」
「あ、そうそう、滝頭です」

そんな感じでタクシーを利用するまだ慣れない新人期間従業員と思われる人が増えたのは、忘年会シーズンということだけではいようだ。

レクサスLSがフルモデルチェンジして、その売行きが良いということらしいのだけれど、それも、期間従業員が増えた理由なのだろう。
レクサス、新型「LS」発売1カ月で約9500台を受注。月販目標台数600台の15倍以上に – Car Watch

また、1月からの増産期に備えての「調整弁」としての労働力を増やす時期だというのもひとつの理由なのだろう。
相変わらず「特別手当10万円」「初回更新手当10万円」なんて餌で非正規労働者を使い捨て、利益の最大化を図ろうと(コスト削減を図ろうと)している。
トヨタ自動車 期間従業員のご案内

期間従業員が増えているのは、そんな増産に対応しての人員確保、ということではなくて、実は「2018年問題」によるものだと、ボクは思っている。平成25年4月1日に改正労働契約法が施行され、無期転換ルールが規定された。無期転換ルールとは「同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールのこと」だ。
労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~ |厚生労働省

トヨタをはじめとする大量に非正規雇用を続けている企業は、これまで通りこの国の若者を使い捨てる「カイゼン」を続けるだろう。そのためには労働力のバッファ機能は残しておく必要がある。「カイゼン」とかカッコいいこと言っているが、多くの若者が人柱になったからこそ企業は成長できたというのも事実なのだ。

そうして気が付けば少子高齢化、格差、貧困という問題を引き起こし、車を買えない若者たちを製造した。

5年という約束の歳月。それは約束ではなくて、それも若者を、この国の若者を、長期間非正規として使い続けるカイゼン策だったのかもしれない。6か月間の空白期間、いわゆるクーリングオフ、そのためにまた多くの若者が雇止めされる。そしてあらたな若者が「特別手当10万円」とか「年収400万円」なんて甘いコトバに誘われ蟻地獄へおびき寄せられている。

その「5年ルール」と「クーリングオフ」、「若者を使い捨てる」というカイゼンのために、街には期間従業員が増えている、ということなのだ。

トヨタ期間従業員募集

10年たっても、なにもカイゼンされていないってのが、この国の雇用問題なんだ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA