規制改革推進会議 少子化等を背景に運転手不足が深刻化しいる、のだろうか?

労働基準監督官業務が民間委託されると、これまで以上に厳しいものになるので、長時間労働やサービス残業への抑止力にはなるだろう。ちょうど駐車違反の取り締まりの民間委託をイメージしている。成績がすべて、なんてことになると(現状の警察業務もそうなんだろうけれど)なにがなんでも、それこそ忖度なしで、取締るに決まっている。「三六協定の協定時間より30分超えてますよっ!!」なんてことでブラックリスト企業に記載されることもあり得る。

「共謀罪」よりはそのことのほうが経営者にとっては深刻な問題なのだろう。

その規制改革推進会議の「規制改革推進に関する第1次答申」の中には、タクシー業界のことも数件あって、例えば「ICT、AI等の技術革新を活かした旅客運送事業等の規制改革」や「第二種運転免許受験資格」というものがある。

その 第二種運転免許受験資格については、現行は21歳以上と経験3年以上という要件で、(それだけで十分かということはことは常に問題視されつつも)運転手としての資質などを担保している。

しかしながら、その最低限、最速の要件で第二種運転免許を取得しタクシー運転手を希望する若者はほとんどいなくて、ボクのように、あるいはボクのまわりの運転手のように、40歳を過ぎてから取得し入職する人が圧倒的に多い。

答申書では運転手不足を「高齢化や、高齢運転手の運転免許返納が進む中、地方を中心に、公共交通需要の増
加が見込まれる一方、少子化等を背景に運転手不足が深刻化している」からだとしているが、その少子化等とはいったいどういった背景なのか、少子化が運転手不足の直接的要因なのだろうか、ボクには全くもって理解できないでいる。

過剰供給で特定地域を指定して減車、それも強制力を持ったものにするほど、街はタクシーであふれているのではないのか?それは特定地域という都会だけの話だとしても、だとすると二種免の年齢要件を引き下げたとしても、どれほど有効なのか疑問なのだ。

やってみなければわからない、と簡単に実行していいぐらい、その資質という(安全や安心なんてもの)は単純に容易に担保できるのだろうか?

業界からそういった意見や要望が提出されているのだろうと思うと、それは逆に業界の嫌悪し憎悪してやまないUberなどのシェアライドを側面で容認することになるのではないのだろうか。だって業界のいう安全や安心なんてものがどんどん軽量化するのだから。

運転手不足が深刻化している理由は、たったひとつ、ボクたちの職業が長時間労働で危険なわりに収入が少ないからなのだ。若者が、夢も希望もない職業に、そして彼らが求めれれている地方では収入がさらに少なくワーキングプア確実な業種に喜んで入職するのだろうか?

いまだに「雲助」や「運ちゃん」なんて蔑視されるボクたちに、社会貢献とか公共性なんてものを説いたとしても、それは業界や社会や国がボクたちを利用する、いや洗脳する教義みたいなものなのだ。

平成28年のタクシー運転手の年間賃金は、前年より7.2%、22万2500円増えたとしても、322万100円、全産業平均の549万円とは217万円ほど差がある。322万円なんて聞こえがいいが、規制改革推進会議の言う運転手が不足している地方においては、例えば安倍首相の故郷、山口県では223万円なのだ。

そんな最悪な労働環境の中へ若者を誘導する。これこそ国家と業界による組織犯罪じゃないのだろうか?

耳ざわりの良い言葉で勧誘し、そして使い捨てる。そう、まるで非正規雇用を増やしたときと同じ手口なのだ。たしかに運転手が不足して深刻化している。しかし、入り口を広げるという強引な手口ではそれは解決されることはない。格差を拡大し貧困層を増加し、少子化スパイラルの悪循環に国家を陥れるだけのことなのだ。

まずはボクたちの労働環境を改善すること、全産業との賃金格差200万円もあることのほうが問題なのだ。(もう人権問題といってもいいほどなんだが)それを是正するための改革こそが喫緊の国家的課題なのだ。

それができないのであれば、それこそ「岩盤規制改革に徹底的に取り組み、イノベーションが可能にする魅力的なビジネスを世界に先駆けて実現」してほしい。そして「高齢化や、高齢運転手の運転免許返納が進む中、地方を中心に、公共交通需要の増加」する地方のために、業界は身を引いてほしいと願う。ボクたちも、それが世のため国のためならば、敢えて身を引く覚悟はある。

国破れて業界あり。そうならないために。

規制改革推進に関する第1次答申

自動車運転者(男)の賃金の推移
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